もはや犯罪企業。三菱自動車「25年の詐欺」を新聞各紙が冷静に分析

 

四半世紀の永きにわたり

【朝日】は1面トップに2面の解説記事「時時刻刻」、会見詳報を8面。見出しを並べてみる。

  • 三菱自 91年から不正測定
  • 社長「会社存続に関わる」
  • 三菱自「不正」四半世紀
  • 社長「自浄作用が働かず」
  • 事業継続に大打撃
  • 繰り返される不祥事

uttiiの眼

《朝日》は、とにかく三菱自動車はこの間ずっと不正を続けてきたのだということを強調している。1面見出しに「…91年から不正」と書き、「時時刻刻」では「『不正』四半世紀」と、もう半分面白がって書いているのではないかと思いたくなるほど。だがもちろん、記事の方は冷静だ。他紙も書いているが、不正の態様についての正確な情報をまとめているので、【基本的な報道内容】と被るが、少し書き出してみよう。

燃費性能算出の基となる「走行抵抗値」のデータは、道路運送車両法に基づき「惰行法」で行うよう、91年に定められた。三菱自はこのときから「高速惰行法」という米国車向けの方法を使い、違法な方法で計測を行っていた。また、燃費試験データを偽装していた軽自動車四車種のうち2車種については「高速惰行法」で測定した走行抵抗値をさらに意図的に小さく偽装して国の燃費試験を受けていた。この実測にしても、燃費が良いタイプでしか行わず、別の3タイプでは実測した走行抵抗値を基に机上計算で算出。なんと、この4車種の後継車については総て走行試験をせず、最初の実測データを参考に、架空のデータを算出していたという。

《朝日》は唯一、この「惰行法」と「高速惰行法」の違いを図で解説している。

今の制度ができて以来ずっとこうした不正を行ってきた三菱自の「事業継続はかなり危ういということを、《朝日》は多面的な取材とデータで明らかにしている。

三菱自の世界販売台数は100万台ほど。そのうち国内は1割で、残りは東南アジアなどの海外。国内販売の半数超を軽が占めていて、連休明けまでには正しい燃費試験を終えて販売を再開したい考えだが、再開時期は「国交省が判断する」(中尾副社長)という。法令の規定を破り続けてきた三菱自に対して、国交省がどんな姿勢で臨むのか、想像に難くない。

ユーザーへの対応も難問だ。燃料代の補填、中古車として売る際の値下がり分など、全体にいくら掛かるか分からないという。軽の供給を受けていた日産は販売機会損失の補償を求める考えといわれる。生産を止めた主力工場である水島製作所従業員の一時帰休なども検討する必要が出てきている。日産との今後の関係、リコール隠しでは支援を受けた三菱グループが今回はどのような姿勢を取るのか、全く不透明だという。五里霧中とはこのことだろう。

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