もはや犯罪企業。三菱自動車「25年の詐欺」を新聞各紙が冷静に分析

 

伝承される無責任

【東京】も1面トップに3面の解説記事「核心」。見出しは以下に。

  • 三菱自 不正25年「伝承」
  • 燃費問題 法令と異なる測定
  • 91年から パジェロなど疑い
  • 不正脈々 消費者欺く
  • 社長「知らなかった」■社員「上の指示絶対」

uttiiの眼

《東京》の捉え方は、こうした不正があいまいな責任体制のもとでそのまま伝承され誰も疑わずに行われていたという点を強調している。1面トップの見出しに「…不正25年「伝承」」とあり、3面の解説記事「核心」に「不正脈々…」とあるのがその表れ。

経営者たちについては、ずる賢いのではなくただだらしがない存在と観られているようだ。かつて丸山真男が『歴史意識の古層』のなかで指摘した、日本的な発想の根底にある「つぎつぎと・なりゆく・いきほひ」のように、三菱自の内部では違法なやり方が次々と伝承され、長い時間、そのままであり続けることを、誰も止められなかった、いや、止めようとさえしなかったのだろう。

会見した幹部たちも、いまだに「誰が指示したのか」、「補償額はいくらになるのか」、「不正の範囲はどこまで及ぶのか」といった疑問に答えることさえできないでいる。これはもう、無責任とか主体性がないとかいう範囲を超えて、無能な経営者といわれても仕方があるまい。外部の弁護士などで作る特別調査委員会による調査結果がどんなものになるのか、経営陣自身がドキドキしながら待つことになるのだろう。

あとがき

以上、いかがでしたでしょうか。

基本的には各社、三菱自の会見を題材に記事を書いているわけですが、1つ1つ、ニュアンスや強調点が違っているのが興味深いですね。私の読み方が当たっているかどうかは別として、リテラシーを鍛える良い材料だという気もします。三菱自動車のユーザーやステークホルダーには申し訳ない言い方になりますが。ではまた。

image by: TK Kurikawa / Shutterstock.com

 

uttiiの電子版ウォッチ』2016/4/27号より一部抜粋

著者/内田誠(ジャーナリスト)
朝日、読売、毎日、東京の各紙朝刊(電子版)を比較し、一面を中心に隠されたラインを読み解きます。月曜日から金曜日までは可能な限り早く、土曜日は夜までにその週のまとめをお届け。これさえ読んでおけば「偏向報道」に惑わされずに済みます。
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