北海道・男児置き去り事件の両親は罪に問われるのか?弁護士の見解は

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北海道の山中に男児が置き去りにされ、7日後に無事保護された事件。ネット上では「保護責任者遺棄罪だ」等の意見も飛び交っているようですが、弁護士の見解はどうなのでしょうか。無料メルマガ『知らなきゃ損する面白法律講座』では、法律のプロとしてこの事件をジャッジするとともに、子育て中の親御さんがやってしまいがちな行動に待ったをかけています。

子供の山中置き去り事件の行方

北海道の山中に、男児が「しつけのため」として置き去りにされた事件で、男児の安否が心配されていましたが、7日目に無事発見されて、日本中が安堵しました。置き去りにされた山中はヒグマも出没する可能性があるという危険な場所であったこともあり、置き去り行為は犯罪である、など父親に対する非難の声が上がっています。今回はこの事件について考えてみたいと思います。

子供を山中に放置した行為は、「保護責任者遺棄罪である」とネット上でも騒がれていますが、保護責任者遺棄罪とはどんな罪でしょうか? 刑法218条は、老年者、幼年者、身体障害者又は病者を保護する責任のある者がこれらの者を遺棄し、又はその生存に必要な保護をしない場合は罪とする、と定めています。この条文が守ろうとしているのは、老年者、幼年者といった保護が必要な人の生命及び身体の安全であると考えられています。「遺棄」という言葉の中には、保護が必要な人を危険な場所に残したまま離れてしまう「置き去りも含むとされています。

今回のように山中に子供を放置する行為が該当するのはもちろんのこと、我が子を自宅に置き去りにする、自分で動くことができない高齢の母親を置き去りにして自宅に帰らない、といった行為も保護責任者遺棄罪に該当します。また、自動車で被害者をはねてしまった、いわゆるひき逃げの事案で、被害者をいったん自動車に乗せて事故現場を離れ、その後厳寒の気温の中、車道に放置して逃げた行為もこの条文で処罰されます。本罪に該当する場合には、3月以上5年以下の懲役とかなり重い刑罰に処される可能性があります。

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