プロ野球は「2軍選手」をどう扱ってるのか?知られざる「昇格」事情

 

「2軍に浮上」ジャイアンツ・増田大輝 3軍から2軍に昇格し初ヒット

近年のファームのあり方で大きく変わったのが、3軍の創設だ。

兼ねてから、故障者選手の調整の場として3軍を設置しているチームもあるが、育成選手中心に3軍チームを結成して、独立リーグのチームや社会人チームなどと積極的に試合を組んでいるのが、ホークスである。

ホークスは1軍が2年連続日本一、2軍が4年連続ウエスタンリーグ優勝と、これだけでも選手が成長しているのがわかるが、さらに3軍を設置して選手に実戦での経験を積ませることで、上を目指せる環境を作った。

数年前に「第二の2軍」を創設しながらも中途半端なとりくみに終わったジャイアンツは、今季から育成選手を大量に獲得し、正式に3軍制度を発足した。3軍は独立リーグや社会人チームと積極的に試合を組んでいるだけでなく、6月後半には台湾遠征もおこなう。

3軍の試合で結果を出し続け「2軍に昇格」したのが、ジャイアンツの今季の育成ドラフト1位である増田大輝だ。徳島出身で、四国の独立リーグで徳島のチームに所属していた、俊足と堅実な守備が売りの22歳。背番号015、右投げ右打ち。

増田は、6月2日におこなわれた熊谷球場での独立リーグ・武蔵ヒートベアーズとのナイター戦で3軍選手としてスタメン出場した。

翌3日、ジャイアンツ球場で開催されたデーゲームの2軍イースタンリーグ公式戦・vsイーグルス戦でベンチ入りのチャンスをつかんだ。増田は試合途中に代走として起用され、そのままショートの守備についた。そして回ってきた打撃機会で、2軍初ヒットを記録したのだ。

増田にとって、最大の目標は1軍の舞台で活躍することである。

しかし、育成枠の3軍選手として、1軍には、はるか遠い場所での戦いを続けていた。それでも、地道に結果を出し続けていれば、チャンスは訪れる。

まずは、2軍に昇格した試合でヒットを放ち、アピールした。次は2軍の厳しいレギュラー争いに割って入れるかどうか。その先に、1軍への道が見えてくる。結果を出さなければ、また3軍が待っている。

ジャイアンツ2軍は、1軍と3軍の間にあるサバイバルの場所に変貌しつつある。

プロ野球2軍の基本は「育成」と「調整」の機関であるが、選手によっては「復活」を期す場であったり、まず「昇格」を目指される場であったりもする。

今季から1チーム最大144試合の公式戦が組まれたイースタンリーグ。さらにイースタンリーグ・チャレンジマッチや独立リーグ・社会人・大学チームとの試合がおこなわれる。ファームの選手には、こなすだけでも大変な試合数かもしれない。

過酷な戦いを勝ち抜いた者だけが、1軍の晴れ舞台をつかむことができるのだ。

image by: Shutterstock

 

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