豪華夕食付きで5000円!京都・宮津に存在する「奇跡の名宿」に悪魔が一泊

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日本征服の旅もそろそろゴール間近な、『ママチャリで日本一周中の悪魔』こと大魔王ポルポルさん。米子市でどら焼きを乱れ食いした後に向かったのは、天橋立で有名な京都府宮津市。野宿続きで暖かい布団が恋しくなった大魔王は、どうやらこの地に存在する、とある有名な宿に泊まる気のようですが……。

大衆酒場を併設!宮津の名物お宿「富田屋」

ママチャリに乗って、日本を征服しようと企んでいる我輩。これまでの約1年1か月、ほとんど野宿で過ごしていたので、体のほうがかなり臭くなっていた。

お風呂に入りたい、柔らかい布団で寝たい、あたたかいごはんも食べたい……。我輩はそんな3つの悩みを抱えながら、日本海沿いを東へ進んでいた。

大魔王なのにゴミ以下の生活を強いられている日々。よく考えれば、湯舟に浸かったのは5月に別府市を征服した時が最後だ。たまーに、マンガ喫茶でシャワーを浴びることはあるが、我輩からすれば風呂とそれは別物だ。

……連日の野宿で頭がおかしくなったのか、ついには「さ、今日もホテルで寝るか」と、道の駅を“3つ星ホテル”と思い込んで野宿するという、匠の技も取得してしまう始末だ。

そんなゴミみたいな生活が続く最中、京都府の日本海沿いにある宮津市というところに、1泊2食付き5000円(税別)で泊まれる富田屋という宿がある、という耳寄りな情報を聞き付けた。

なんでもその宿は、大衆居酒屋と併設していて料理もおいしく、もちろん風呂も付いている。ボロボロの体で旅を続けるいまの我輩には、まさにピッタリの場所なのである。

しかし……手持ちのお金が少々心もとない

これは困ったというわけで、我輩の手下がいるまぐまぐ編集部に連絡をしてみる。

「おい! 我輩のボロボロの体を何とかするために、今晩は富田屋という宿に取材がてら泊まってやる!! 分かったな!! ガッハッハッハッハッハ!! だから……」

すると、電話を取ったまぐまぐ編集部員は、

「はいはい、どうぞどうぞ~

と調子よく返事したと思いきや、あっさりと電話を切りやがった

我輩はツーツーと鳴る受話器に向かって

「……え、あ……はい」

としか言えなかった。

 

宮津市といえば、日本三景のひとつである天橋立と、日本海の新鮮な海の幸で有名な場所。休日ともなると、全国から来た多くの観光客で賑わう。

そんな一大観光地である宮津市に、我輩は獣のような異臭を放ちながらやってきた。

「観光とかどうでもいい……。と、とにかく、ふ、風呂に入りたい……」

そんなことをブツブツ唱えながら、宮津駅の方までたどり着くと、すぐ駅前に我輩の探していた「富田屋」があるではないか。

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見た感じ大衆居酒屋のようでもあり、以前訪ねた岡山市の黒川食堂を彷彿とさせるボロさ。ただ、今の我輩にとっては、まるでオアシスのように光り輝いて見える。

さっそく我輩は、引き戸をガラガラと開け、店の中に入った。

「ガッハッハッハッハッハ!! 我輩は大魔王ポルポル!! この店は何だ!! 何の店だ!!」

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しかし、店員さんは我輩にまったく気が付かない。どうやら忙しい時間帯のようだ。

我輩はちょっと恥ずかしくなったので、一度、店の外に出る。

(……そ、そうか。忙しいのだな)

ふと、ため息をつく。気が付くと、日が沈みかけている

お店の忙しさの邪魔をしてはいけない。それが魔族のルールだ。そう思いながら、しばらく店の前に佇んでいると、とある一組のニンゲンたちが店に入ろうとして、我輩の顔に気づいたようだ。

なんちゅう顔してんねん、アンタ! ギャハハ!」

この顔は魔族だから仕方がない。それにしても、我輩をバカにしてくるとは、なんたる無礼か。

「いやぁ、まぁ日本一周をしてまして……」

我輩はママチャリで日本一周してること、ここ最近まともに風呂に入ってないこと、とにかく腹ペコなことなど、相手が聞いてもいないのに話し始めた。

我輩の体中から発する魔族のオーラ、もしくは変な顔なのにペコペコしている不審者ぶりに、向こうは怯えてしまったのか。なんと彼らは、我輩を食事に誘ってきたのだ。

(……ふん! 誘われたのなら仕方がないな。ガッハッハッハッハッハ!!)

ニヤニヤしながら、ニンゲンたちと一緒に再び富田屋の中へ。こうして我輩は、ニンゲンたちにとんかつ定食をおごらせることに成功したのであった。

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しかし、この富田屋。最初にも説明した通り、宿泊をするとオコゼの唐揚げ、サザエのつぼ焼きなどといった、魚介三昧の豪華な夕食が付いて来る。

もちろん両方食べる気で満々だった我輩だったが、とんかつ定食が見た目以上にボリュームがあったのか、あるいは貧しい食生活が続いて胃が縮んでいたのか、とんかつ定食を平らげた段階ですっかり満腹に。宿泊についてくる豪華な夕食は食べられそうもなかった。

とんかつ定食を献上したニンゲンたちも、豪華な夕食が待っていた我輩におごってしまったことに、申し訳なさそうな様子だった。とはいえ、道の駅を「3つ星ホテル」と称して野宿をしていた時の食生活から考えれば、「とんかつ定食」も「魚介の豪華な夕食」も変わりなく超ごちそうだ。

「あ! 良いっすよ、気にしなくて! 僕、さっきまで草食べてたんで」

こう言う我輩に対してニンゲンたちは、趣味で作っているというキーホルダーをくれたのだった。

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ニンゲンたちに食い物をさんざん献上させた我輩は、疲れた体を癒すべく宿の部屋に入った。

部屋のほうは、ひと言でいうとレトロな感じ。トイレや風呂は共同だし、部屋にあるテレビは未だにブラウン管だ。そして何よりも、全体的に薄暗い

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ジブリ映画の“まっくろくろすけ”が出てきそうな、そんな雰囲気。……とはいえ、まっくろなのは我輩のいで立ちも同様なので、そこは我慢することにする。

それよりも布団! 真っ白で清潔なシーツにくるまれた、あたたかい布団だ。

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それにいつもの野宿だと、寝ている時に蚊に刺され放題だが、今晩はその心配もない。まさに天国だ。

「ガッハッハッハッハッハ!! 今日のホテルは5つ星だな!! ガッハッハッハッハ!!」

有頂天になった我輩は、喜びのあまり朝まで踊り明かしてやろうかと思ったが、すぐに眠くなり9時には寝てしまった

そして翌朝。……連日野宿をしているため、日の出とともに起床する癖がついてしまった我輩は、いつものように朝5時に起き、ニンゲン界の情報を得るために朝のニュースをぼんやり眺めた後、朝食会場である富田屋の向かいにある喫茶店で、トーストのモーニングを食ベた。

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「ガッハッハッハッハッハ!! 夕飯と朝飯がついて5000円とは激安だ。素晴らしい!!」

富田屋を征服することを忘れ、すっかり満足した我輩。そのまま身支度を整えて、次なる目的地である滋賀県の方面へと、再び走りだしたのだった。

 

DATA
富田屋
住所:京都府宮津市字鶴賀2066-56
営業時間:11:00~22:00
定休日:月曜日
※宿泊は1泊2食付き1人5000円(税別)

 

『大魔王ポルポルの日本征服の旅』
著者/大魔王ポルポル
日本一周の旅をしている大魔王ポルポルである。旅の裏側、隠れた小話など話したいことは盛り沢山!! だがしかし! タダで公開はできない。メールマガジンで日本のいろいろなことを掲載するのだ。メルマガに記載のアドレスに悩みや質問を送ってくれればメルマガで公開回答するぞ! ガッハッハッハ!!
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