日立に大打撃。英国EU離脱で「高速鉄道事業」がお先真っ暗

 

この「高速鉄道車両」ですが、主要な目的はイングランドからスコットランドに直通させる、しかもイングランドの首都ロンドンから、スコットランドの首都エジンバラを4時間で結ぶという構想に適合した車両ということです。

これに加えて、エジンバラだけでなく、スコットランドの各地に直通させる、またイングランドの中でも、こうした都市間幹線だけでなく、郊外型の中距離運用にも使えるということで、なかなか意欲的でフレキシビリティーに富んだ位置づけになっているわけです。2016年3月にロンドンで行われた車両の披露会では好評を博したようで、この工場では計110編成が製造される計画であると報じられています。

そこへ降って沸いたのが「BREXIT英国のEU離脱)」です。この「クラス800」と、日立の英国工場の運命は突然前途が真っ暗になってしまったのです。

まず、この「ニュートン・エイクリフ工場」ですが、何も英国市場向けに鉄道車両を製造するために作られたのではありません。そうではなくて、英国での成功をバネに、大陸ヨーロッパにどんどん車両を売り込む、そのための戦略拠点なのです。EUという枠組の中では、関税なしで英国から大陸に売り込むことが可能だからです。

それが「離脱」ということになると、EU側は「他に離脱する国が出ないよう見せしめ」にするために、高い関税をかけたり、仕様などで規制をかけたり非常に厳しい対応をしてくる可能性があります。特に、この日立のケースの場合は、ヴァージンへの売り込みに際して、フランスのアルストム、ドイツのシーメンスを「押しのけて」入札に勝っているわけですから、EUとしては報復ターゲットになりやすい事情があると思います。

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