取締役が優秀な社員をゴッソリ引き抜き転職。これは「違法」か?

 

A社が勝ちました。その取締役らが行ったのは「違法な引き抜き行為である」と認められたのです。ただ、これは単純に「『引き抜き=違法』と認められた」というのとは、ちょっと違います。

その状況をもう少し詳しくお話しします。

  • この取締役は、A社で8割の売上をあげる重要なポジションにいた
  • A社の社員を21人引き抜いた
  • 引き抜きの際には、目的を告げずに「慰安旅行」と言って誘い出し、「A社は倒産するかも知れない」と言って転職を説得した

これを、みなさんはどう感じるでしょうか? もはや、普通の引き抜きというレベルではないですよね。

このように、引き抜きが違法と認められるには実は結構ハードルが高いのです。なぜならば、社員には「職業選択転職の自由」があるからです。たとえ、会社から見たら引き抜き行為であっても、引き抜きを受けた社員が自分の意志で「転職したい」と考えてしたのであればそれは違法とは言えない可能性が高いでしょう。

実際の裁判でも、引き抜きを受けた社員が

  • 転職先に魅力を感じて自ら退職した
  • もともと会社の環境に不満を感じていた
  • 自分の雇用条件に満足していなかった

などで、転職した場合はその引き抜きを違法とは認められませんでした。つまり、「退職時に引き抜きは禁止」と、どんなに厳しく話してもそれだけで引き抜きを防ぐのは非常に難しいということです。

さて、みなさんの会社はいかがでしょうか。社員の不満を解消していますか?社員の満足いく環境を提供していますか?

image by: Shutterstock

 

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企業での人事担当10年、現在は社会保険労務士として活動する筆者が労務管理のコツをわかりやすくお伝えいたします。
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