研修後に社員が急死。会社に責任はあるのか?

 

会社が負けました。「会社は、本人の負担を考え研修に参加させるかを考慮すべきであった」とされたのです。

実は、この社員は以前に心筋梗塞を患ったことがありました。また、30年以上、喫煙をしており高脂血症も併発していました。さらに、

  • 研修前の勤務において、残業が多く疲労がたまっていた
  • 2ヶ月以上にわたる研修で2~4人と同室で宿泊していてストレスがたまりやすい状況であった

などの状況がありました。以上のことから「研修に参加させることにより、同人(死亡した社員)が急性心筋梗塞等の急性心疾患を発症する可能性が高いことを少なくとも認識することが可能であったというべきである」とされたのです。

さて、みなさんはこれについてどう考えるでしょうか? 「健康管理は自己責任だ」「そこまで会社が管理しないといけないのか」と感じる人もいるかも知れません。確かに「健康管理は自己責任」については私も同じ意見です。社員であれば、万全な状態で仕事に取り組めるように、当たり前に健康管理をすべきです。

ただそれは、会社は健康管理をしなくて良いという意味ではありません。会社も社員と一緒に健康管理をしていく必要があるのです。

例えば、みなさんの会社で健康診断の結果はそのまま社員に渡し結果を確認していないところは無いでしょうか? 会社は健康診断を行えば良いだけではなく、その結果によってはそれに応じた考慮もしなくてはならないと法律でも定められています。それを手間と考えるか社員のためと考えるか、それとも会社と社員のためと考えるか。

私は「会社と社員のため」と考えます。社員が健康に働ければ上記の裁判例のような万が一のリスクを回避できるだけでなく生産性もあがり、業績向上にも繋がるからです。もし、まだできていないところがあるのであれば早速取り組んでみてはいかがでしょうか。

image by: Shutterstock

 

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企業での人事担当10年、現在は社会保険労務士として活動する筆者が労務管理のコツをわかりやすくお伝えいたします。
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