なぜ米国で「ポケモン」が特別な存在なのか? 現地NYからの分析

 

外に出て遊べるゲームにしよう

「ポケモンGO」は、スマホの位置情報トラッキング技術(location-tracking technology)や拡張現実(augmented reality、略してAR)機能などを活用し、プレイヤーが自分の今いる現実世界をもとにしたAR世界の中で、スマホの画面上のデジタル・マップやカメラを通し、モンスター(ポケモン)を探し出し、捕まえるというゲーム。

他にもいろいろな楽しみ方ができるが、より多く、より珍しいポケモンを捕まえようという「宝探し」的な遊び方だけでも十分に楽しめる仕様になっている。

ポケモンの捕まえ方は、見つけたポケモンに、スマホの画面上を指でスワイプしてポケボールを投げつけるだけ。

子ども向けゲームなので、誰でも簡単に楽しめるのも魅力の1つだろう。

肝心のポケモンは神出鬼没で、なんらかの条件を満たすと、どこにでも出現する。

ただし、多くの場合、より頻繁にポケモンが出現しそうな場所を求め、みんなスマホ片手に出歩くことになる。

ただ出歩くのではない。

デジタル・マップには、今、自分がいる場所の近くにいるポケモンの種類や、そこまでの漠然とした距離(1~3の足跡の数で表示される)を示す「ニアバイ」(Nearby、近隣という意味)機能がついており、自分が移動すると、スマホの位置情報トラッキング技術によって、その内容が変化するため、これをコンパス代わりに使って効率的にポケモン集めを楽しめるようになっている。

そして、より多くのポケモンがいる場所を探していくと、公園パブリック・スペースなどに導かれることが多い。

この設定の背景には、今からちょうど1年ほど前の2015年7月11日に、世界中の大勢の方々に惜しまれながら55歳の若さで亡くなった、任天堂の岩田聡前社長の思いが込められているとも言われている。

「ポケモンGO」の開発を進めていた岩田さんは、

「ゲームは確かに楽しいが、それが原因で子供達が外で遊ばなくなった。外に出て遊べるゲームにしよう」

と語られていたそうで、「ポケモンGO」がリリースされた後、その開発に関わった方から、

「岩田さん、ようやくここまで来ました。どうか空からどれだけの人々が外へと飛び出していくか、見ていてくださいね。Pokemon GOが現実の世界の捉え方を変えるきっかけになったら。世界が素晴らしい場所であることに気づくきっかけになってくれたら、と願っています。」

とのコメントも。

〔ご参考〕
ただ今、世界中で任天堂岩田社長への感動的な追悼投稿が大量発生中

Pokemon GOは任天堂・岩田社長時代のエイプリルフール企画から始まった

そんなわけで「ポケモンGO」には外に出て遊べるゲームとしての魅力を高める工夫や演出が、山盛りだ。

現実世界をもとにした「ポケモンGO」のAR世界には、有名な名所だけでなくあまり知られていない穴場的なスポットにまで、現実世界に存在する名所(歴史的な建築物、石碑や銅像ほかモニュメント、教会、学校など)に、『ポケストップ』(Pokestop)と呼ばれるチェック・ポイントが、いくつも配置されている。

そのポケストップには、捕まえたポケモンを戦わせるジムと、ポケモンを捕まえる際に必要になるポケ・ボール(Poke Ball)などのアイテムを無料でもらえることもある名所案内の2種類がある。

プレイヤーが持ってるポケ・ボールは無限ではなく、数に限りがあるので、常時、集めておく必要があり、必然的に、ポケストップになっている名所をぐるぐる巡ることになる。

その結果、日頃、慣れ親しんでいる自宅や職場の近所で、

「これまで見過ごしていた名所の存在に初めて気づいた」

とか、

「これまで足を運んだことのない公園の奥にある素晴らしい景色を教えてもらった」

といった声も出ている。

また、現実世界をもとにした「ポケモンGO」のAR世界の名所案内が、実は、ツアー・ガイドとして役立つよ、なんていう提言まで、早くもニューヨーク・タイムズ紙で報じられていたりもする。

〔ご参考〕
ニューヨークの街角でポケモンGoやってみました

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