マヨネーズのキユーピーが、「医薬品」でガッチリ儲けているワケ

 

医薬品が利益の隠し味に

ヒアルロン酸は美容商品のイメージが強いのですが、キユーピーはヒアルロン酸由来の医薬品の開発にも注力しています。同社の医薬品はEPA(エイコサペンタエン酸)が主力でしたが、競争の激化により収益は伸び悩んでいました。そこで目をつけたのがヒアルロン酸由来の医薬品なのです。

ヒアルロン酸由来の医薬品には、白内障の手術で人工レンズを挿入する際に使用される補助剤や、膝の軟骨の損傷で痛みがでる「変形性膝関節症」の治療薬などがあります。ヒアルロン酸は、軟膏やパップ剤などの外用剤原料としても利用されています。さらに、キユーピーはヒアルロン酸を中心とした医療領域向けの製剤開発に着手し、18年度中の販売を目指しています

ヒアルロン酸由来の美容商品や医薬品を主体とするファインケミカル事業は今のところ規模は小さいものの、利益の面においては大きな伸長が期待できます。主力の調味料事業やタマゴ事業は、国内においては成熟産業であり、規模の面においては大きな伸長は期待できません。

利益重視の戦略を推進

キユーピーは、ファインケミカル事業を中心に利益重視の戦略を進めていくものと思われます。中期経営計画では、18年11月期の売上高の目標が6,250億円で、15年の5,520億円(新会計方法による影響を補正した数値)から13.2%増にとどまるのに対し、18年の営業利益の目標は355億円で、15年の264億円から34.4%増となる大幅な増益を目指していることからもわかります。

キユーピーは、既存製品の販売の強化に加え、原材調達体制の再構築によるコスト改善やヒアルロン酸の新機能の創出、海外での販売体制の構築により収益の向上を目指していくことでしょう。どのような「隠し味」を加えていくのか、今後に注目です。

image by: キユーピーホームページ

 

店舗経営者の繁盛店講座|小売業・飲食店・サービス業
著者/佐藤昌司
東京MXテレビ『バラいろダンディ』に出演、東洋経済オンライン『マクドナルドができていない「基本中の基本」』を寄稿、テレビ東京『たけしのニッポンのミカタ!スペシャル「並ぶ場所にはワケがある!行列からニッポンが見えるSP」』を監修した、店舗経営コンサルタント・佐藤昌司が発行するメルマガです。店舗経営や商売、ビジネスなどに役立つ情報を配信しています。
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