親の介護ができるからと入った会社で「転勤命令」。拒否は可能か?

 

会社が負けました。その転勤命令は「無効である」と裁判で認められたのです。なぜか?

実は、この社員には高齢の両親がいて世話が必要な状態でした。それを採用面接のときに、「前職から大幅に年収が下がるが、両親の世話をみることができることが志望動機である」と伝えていたのです。

それを裁判所は「その事情を理解して採用したわけであるから、転勤がないことを認めたと考えることができる」としたのです。

また、求人票に「転勤あり」と記載があることについては「あくまでも雇用契約を結ぶ前に出された条件であり、この社員との雇用契約に明記されたものではない」としました。

いかがでしょうか? 転勤については基本的には会社に裁量権があります。転勤を命じられたら社員は原則として断ることはできません(もちろん、求人要項や就業規則に、明記されていることが前提ですが)。

ただ、最近は社員の事情に配慮した裁判例も多く見られるようになりました。

※ご参考:【労務管理】転勤命令がすべて有効になるわけではない

そして、おそらくこの傾向は今後はさらに強くなっていくと考えられます。

みなさんの中には「転勤は絶対命令」という会社の雰囲気で自らも転勤をしてきた人もいるかも知れません。そして「社員は転勤して当たり前」という考えの人も多いでしょう。ただ、今後は社員の事情に合わせた転勤を考えるべきかも知れませんね。

image by: Shutterstock

 

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