告知で絶望しないために。現役医師による「病名なんて要らない」論

 

「私は、たとえば繊維筋痛症という診断名を使いません。繊維筋痛症は原因不明で、全身の痛み、不眠、抑うつ、過敏性大腸炎などを合併する疾患群です。もちろん、このような患者さんがいることは知っていますし、それに近い人を診た経験もあります。しかし、繊維筋痛症に保険適応の通っている薬剤を使うため、という理由以外で繊維筋痛症という名づけをするメリットを私は感じないのです。それが、繊維筋痛症という定義にあてはまる人であれ、そうでない人であれ、慢性痛症として大きく認識したうえで、あとはそれぞれの志向を探り、志向を変える契機を個別に考えていくということになるわけですから」。

ここで言う志向とは患者が自分の痛みについてどのように考えどうしたいかという患者が痛みに向き合っている癖のようなもので、それをいい方向に変えることで、痛みがずっと和らぐことを、著者は主張しているのである。契機は様々で、薬剤であったり、カウンセリングであったり、患者自身の経験であったりするわけで、一般的な解はない。病名をつけてしまうとあたかもその病気に対する最適な治療法があるかのように医者も患者も考え勝ちなので、病名はつけないほうがいいのである。

続きは登録の上、お楽しみください。初月無料です

image by: Shutterstock.com

 

池田清彦のやせ我慢日記』より一部抜粋

著者/池田清彦(早稲田大学教授・生物学者)
このメルマガを読めば、マスメディアの報道のウラに潜む、世間のからくりがわかります。というわけでこのメルマガではさまざまな情報を発信して、楽しく生きるヒントを記していきたいと思っています。
<<無料サンプルはこちら>>

print
いま読まれてます

  • 告知で絶望しないために。現役医師による「病名なんて要らない」論
    この記事が気に入ったら
    いいね!しよう
    MAG2 NEWSの最新情報をお届け