なぜ中国は「強がり」を崩さないのか。見えてきた苦しいお家事情

 

しかし肝心の中国経済は減速が続き、中国人民元の国際化は未だならず、人民元切下げから1年経っても元安に歯止めがかからず元安なのに輸出も低調のままだ。中国の株価(上海総合指数)は、2015年から2016年7月末の1年で3,663から2,979に低落、元の対ドル相場は1ドル=6.1172から6.6511へ。輸出が1,931億ドルから1,847億ドル、実質GDP伸び率も7.0%から6.7%といった具合だ。

特に対ドル為替レートは2015年8月に3日間連続して切り下げ、基準値から計4.6%も下がり、「輸出を増やすための切下げではないか」との憶測も流れた。結局、元相場はこの1年で9%近く下落したものの、今年1-7月の輸出額は前年同期比で7.4%減と元安効果はみられなかった。中国の不良債権処理や鉄鋼、石炭などの過剰生産解消も遅々として遅れているし、かといって従業員のリストラを進めると社会不安につながることになる。

こうしてみると、中国は外交や外部面では強気に出て強い中国の面子を保つために汲々としているが、内政や国内経済、社会状態では不安を抱えている実情がよく見えてくる、といえよう。

(Japan In-depth 2016年8月19日)

 

ジャーナリスト嶌信彦「時代を読む」
ジャーナリスト嶌信彦が政治、経済などの時流の話題や取材日記をコラムとして発信。会長を務めるNPO法人日本ウズベキスタン協会やウズベキスタンの話題もお届けします。
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