世の中を変えるほどの発明は最初、誰もその重要性に気づかない

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世界的エンジニアの中島聡さんがお送りするメルマガ『週刊 Life is beautiful』。今回は「発明」に関する、とある記事に対して、中島さんが自身の見解を述べています。ライト兄弟の有人飛行やベルの電話など「世紀の大発明」と呼べる発明であっても、その重要性を世の中に認知してもらうまでには膨大な時間がかかりました。中島さんも自分自身がInstagramに先駆けて発明した世界初のスマホ向け写真共有SNS「Big Canvas PhotoShare」を例に、その難しさを語っています。

私の目に止まった記事

When You Change the World and No One Notices

世の中を変えるほどの素晴らしい発明をしても、しばらくの間は誰もその重要性に気がつかない」という記事ですが、色々と考えされらる記事です。

ライト兄弟が、世界初の飛行に成功した時にも、しばらくの間はメディアは取り上げず、その後も、多くの人たちが「人間が空を飛ぶなど不可能」と言い続けていたそうです。電話も、発明された当初は、「こんなもの役に立たない」と言われていたそうです。

私が開発に関わった GUI (Graphics User Interface)も、発明をしたのは Xerox PARC の研究者たちでしたが、それを一般の人たちの手に届く形にしたのが Apple で、人類になくてはならないものにまでしたのが Microsoft でした。

今では、当たり前になった「写真共有型SNS」を世界で最初にスマートフォン向けに提供したのは私でしたが(Big Canvas PhotoShare)、世界に普及させたのは Instagram でした。しかし、PhotoShare のアイデアのベースは、日本の J-Phone が世界初の「カメラ付きケータイ」を発売した時に提供していた写真のストレージ・サービスでした。

J-Phone の担当者と話した時に、数多くのサービスの中で、最も解約率の低いサービスが写真のストレージ・サービスだったと聞き、それならば、それをさらに共有することを可能にしたサービスを作ったら普及するに違いないと思ったのです。

去年オープンソース化した Swipe も、私自身は「進化の袋小路」にはまってしまった EPUB に変わる画期的な技術だと確信していますが、これを普及させるのは簡単ではないし、時間もかかると認識しています。10月にはオーサリング環境をリリースする予定なので、少々お待ちください。

image by: Shutterstock

 

『週刊 Life is beautiful』より一部抜粋

著者/中島聡(ブロガー/起業家/ソフトウェア・エンジニア)
マイクロソフト本社勤務後、ソフトウェアベンチャーUIEvolution Inc.を米国シアトルで起業。IT業界から日本の原発問題まで、感情論を排した冷静な筆致で綴られるメルマガは必読。

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