MBAよりMFA
インターネットが普及して、ソーシャル・メディアが生まれて自分の体験や思いをシェアしたり伝えたりする手法はとても増えた。
ソーシャル・メディアでシェアしたりブログで何か書いたりしないよっていう人でも、メールで毎日誰かとやりとりはすると思う。
メールもあまりしないよと言う人でもネット上の情報は読んで気になるニュースについて何かしら考えるという人はいるだろう。
けど、何かを常に『作り生み出している』という人はどれだけいるだろうか?
『作り生み出す』のはクリエイティブな作業。誰かに言われてじゃなくて自ら何かを『作り生み出す』ことだ。
アート作品でもいいし、文章を書くのでもいい。でもできれば、自分の仕事や携わっていることに関係するもので新たに何かを『作り生み出す』ことを週に1度でもすることをお薦めする。
自ら『作り生み出す』ことが仕事や毎日の生活の生産性を上げもっと言うと、もしかしたら飢餓で苦しむ子どもたちをも救うアイデアを生み出すかもしれないから。
クリエイティブな作業が仕事や毎日の生活の生産性を上げ、よりより結果に繋がることは、米国では何年も前に関連の論文によって証明され、クリエイティビティの重要性は年々、高まっている。
2004年にハーバード大学出版社によるビジネス誌のハーバード・ビジネス・レビュー(Harvard Business Review)でその年の20個の革新的なアイデア(Breakthrough Ideas for 2004)の特集号が組まれた。
その中で、『MFAが新しいMBAだ』(The MFA is the New MBA)という論文が選ばれたのだ。
MFAとは美術学修士号(Master of Fine Arts)のこと。MBAはご存知の通り経営管理学修士号だ。
当該論文では、「もう経営学の時代は終わり、これからは美術学の時代へ」ということを示している。そして、その論文を天下のハーバード大学出版社が選んだ。その意味は大きい。
さらに、ここ最近話題の人工知能(Artificial intelligence:以下、A.I.)の発展の先にある人間の役割りをも示すものとも言える。
ハーバード・ビジネス・レビューに書かれた内容は以下の3つ。※は補足説明。
(1)コンピューターの進化とインターネットの普及→知識だけではコンピューターに勝てない
※つまり、知識や情報だけ得ても、それらが持つ意味を見つけて価値ある情報に変化させなければその知識は無いに等しい
(2)グローバル化→インド(英語圏)の優秀で安価な知識労働者に知識労働の仕事も基本的なものは大量にアウトソースされる
※能力の差を決めるのはオリジナルで生み出したアイデアや考え方や発想なのだ
(3)安くて質の高い商品・サービスが続々登場→(1)と(2)が進んで、物質的豊かさがどんどん広まる
つまり、「物質的豊かさ(material abundance)がどんどん広まって、大量の情報が溢れてる情報化社会(information age)を経た先は、概念的な時代(conceptual age)になっていき、消費者ニーズもこれまでとまったく別のものになる」という主張である。
また、これからの世の中では、どんなに高度に戦略を考えても、既存の知識の枠組みやこれまでの常識の中だけで考えてたら、後追いにしかならない。いや、それどころかクリエイティブに何かを生み出せない人は例えば、A.I.にとって代わってしまうかもしれないのである。
言い換えると、A.I.の時代が来るからこそ人間のオリジナルのクリエイティビティが重宝される時代となるのである。