アベノミクスはなぜ「つまらない金融政策」ばかりになったのか?

shima20160920
 

政府・日銀による景気対策の効果が感じられない状況が続いていますが、黒田総裁は「金融緩和の拡大や物価上昇率2%の目標は貫く」という強気な姿勢を崩していません。これに対して無料メルマガ『ジャーナリスト嶌信彦「時代を読む」』の中で嶌さんは、「日銀や政府の考える政策は、企業や国民の心理に配慮していない」と厳しく指摘しています。

国民、企業心理に心づかいを

政府・日銀の財政・金融政策は本当に正しい道を突き進んでいるのだろうか。黒田日銀総裁が登場して大胆な金融緩和策を実行したため、一時は1ドル=80円割れしていた円高は、あっという間に円安に転じた。その後も黒田日銀は大幅な金融緩和を続行、ついにゼロ金利からマイナス金利の導入にいたるまで踏み切った。

低金利、ゼロ金利、マイナス金利となれば企業や消費者はおカネを借りやすくなり市場にカネがだぶついて、企業は安い金利のうちに設備投資を行い、消費者もおカネを使うようになるだろうとみたのだ。加えて財政面からは東日本大震災もあり災害復旧や公共投資などに惜しみなくおカネを注ぎ込んだ。

その結果、円は1ドル=80円割れから、一時120円台をのぞくところまで進んだが、肝心の設備投資も消費も盛り上がらなかった。企業の内部留保資金が厚くなっただけだし、円安で輸出増ともならなかった。効果が目立ったのは、外国人観光客が急増し、爆買いをしてくれたことだろう。ただその爆買いも3ヵ月位前にこの欄で指摘したように下火となっている

黒田日銀総裁は相変わらず強気で、金融緩和の拡大や物価上昇率2%の目標は貫くと言い続けている。しかし、さすがに日銀や財政当局の内部ではこのまま今の方針を続けると金融機関の体力が弱り、財政健全化の目標も遠のくばかりだと懸念する声が出始めている。このため9月になったらこれまでの政策や効果を再点検すると言い出した。しかし調査、点検して本気で政策を見直す気があるのか。

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