筆者が見聞きした範囲では、大きく次の4つの方法がしばしば挙げられる。
1. 日本映画(邦画)を海外に輸出し、興行収入の配分を日本に還元
2. 日本に国外から映画撮影隊を誘致、各地元の経済活性化
3. 出資・クルーを交えた国際共同製作
4. 日本の物語原作を活かした外国資本による映画化の権利運用
これがすべてではないだろうし、ほかにも誰も思いついていないアイデアがこれから誕生する可能性もある。しかし筆者としては現段階で、4.が長い目で見て最も実現可能性の高い、かつ経済的効果もあげられる方法なのではないかと考える。(その理由については 112号コラム『「和製マーベル」はつくれる!』参照)
経済活動としての映画づくりが続くためには、大きな市場に出回り、一人でも多くの観客に届く作品が継続的に出てくる必要がある。それを実現するうえで、物語を構築する能力、ストーリーテリングの能力が不可欠であり、世界的なストーリーの供給地としての日本の役割が強まるのではないか。
もちろん、一筋縄ではない。権利にかかわる契約交渉から実際の映像ができあがるまでのエクセキューションにいたるまでの課題は山積みだ。しかし、「日本から世界へ」のひとつの具体的解答の方向性として進めることに大きな意義が見いだせるはずだ。
そういった文脈においても、『オール・ユー・ニード・イズ・キル』『攻殻機動隊』といった実写映像化作品はこのような試みの初期の作品であり、とりわけ『攻殻』の興行は今後の作品トレンドを左右する試金石として見られるだろう。(うまくいってほしいものだ…)