みなさんはデジタルアートについてどれほどご存知でしょうか。技術の進化した現代では、コンピュータを使ってさまざまな芸術作品を作ることが可能になりました。デジタルアートと呼ばれるもののなかには、元となる素材からすべてコンピュータで手がけるものや、写真などを取り込んで作るもの、さらには何らかの計算処理によって修正を施したものなどがありますが、今話題になっているのは、私たちが普段スマホなどで多用している「絵文字」を使ったデジタルアート。お馴染みの絵文字を駆使して見事なモザイクアートを再現しています。
現代版モザイクアートを作り出すのは、お馴染みのあの絵文字たち
モザイクアートとは、小片を寄せあわせて埋め込み、図像や模様を表す装飾美術の手法で、古くから陶磁器や石、有色無色のガラスや貝殻、木などを使用して建築物の床や壁面、工芸品の装飾のために施されてきました。
宗教とのかかわりも強く、カテドラルの内部空間やモスクの外壁などが有名ですよね。
その繊細で絶妙な色使いが多くの人々を魅了してきた歴史あるモザイクアートですが、現代ではそこにデジタル技術が加わって、また新たな魅力を生み出しています。
Image by Laughing Squid
現在特許出願中である「Moji Lisa」は、兄妹であるSoug Pfeffer氏とRachel Pfeffer氏によって生まれた、オンラインのプリントアウトサービス。
その内容は、選んだ写真を複雑なデジタル処理によってさいの目に刻み、それらを色味の合う絵文字に当てはめていくというもの。
そうして絵文字で再現された写真は、最終的に18インチ四方 (約46cm) のマット紙に印刷されます。
普通の写真を芸術作品に生まれ変わらせるこのサービスは、同サイトからのネット注文が可能。
なるほど、絵文字の色合いや黒い背景のスペースを使って、見事に影の部分を再現しています。
「他にもモザイクアートを扱うオンラインサービスはあるけれど、それらは写真に合う色味を探すためにRGBとよばれる色の表現法 (赤、緑、青3つの原色を混ぜて幅広い色を再現する加法混合の一種) を取り入れているから、仕上がりは早いけど、ところどころに不自然に見える箇所が生まれてしまう。我々の技術はLAB色空間 (明度、色相、彩度で構成されるカラーモデル) に基づいていて、色のマッチングのための数式はかなり複雑で時間がかかるけど、仕上がりはずっと良いのよ」と語ります。
現在使用している絵文字はiPhoneのものですが、今後はもっと多くの絵文字に挑戦したいのだとか。
技術の進歩とともに、日々アートも進化し続けています。
これまでは馴染みの薄かったモザイクアートも、普段使っている絵文字なら何だか身近に感じられます。
あなたも1枚、大切な写真をアートにしてみませんか。
Source by laughing squid、mojilisa
Image by Laughing Squid
文/貞賀 三奈美