プーチン氏も恐れる世論の反発
【読売】はフルスペックでの対応。1面トップに2面、3面は解説記事「スキャナー」、4面は与野党の反応、9面国際面、11面経済面、14面15面は見開きで「日露首脳会談」の大特集、34面と35面の社会面にも長門市民の反応、元島民の声。見出しを拾う。
- 4島「特別な制度」協議
- プーチン氏来日、首脳会談
- 共同経済活動で
- 事務レベルで議論 合意
- プーチン氏 また遅刻
- 領土 譲れぬ日露
- 首相「元島民の思い胸に」
- 支援「食い逃げ」に懸念
- プーチン氏強硬 共同経済活動「主権下」要求
- 与党 北方領「前進を期待」
- 野党「目に見える成果を」
- 安保対話「重要」で一致
- 中露国境 解決に40年
- 「今は特別なパートナー」
- 経済協力 具体化へ協議
- 追加協力の可能性
- 領土交渉 思惑交錯
- 安倍首相 信頼築き進展図る
- プーチン大統領 経済最優先譲らず
- 「先行返還」容認広がる
- 島の返還 糸口は
- 湯の街会談 和やかに
- 沿道市民 歓迎と期待
uttiiの眼
膨大な記事を「日露首脳会談」に捧げている《読売》だが、大半は提灯行列のようなものに見えてくる。肝心の、領土問題における成果が見通せない。別に、《読売》のせいではないだろうが。
そして、会談後に起こる出来事に対するリアリティは、見出しで言えば「支援「食い逃げ」に懸念」というあたりに見受けられる。この「懸念」の主は、自民党内の声ということだ。
解説記事「スキャナー」には、両首脳が対座して2人とも満面の笑みを見せているモノクロ写真が掲載されていて、安倍氏の方はいささか笑いすぎとも思える表情を見せている。しかし、記事の中身は、笑っていられるようなものではない。「共同経済活動や人的往来の拡大で合意し、領土問題を含む平和条約交渉の進展につなげる」というのが首相の描いた戦略なのだが、「これまでのところ、経済協力の議論が先行」しており、そのことに対し、自民党内から「またしてもロシアに「食い逃げ」されるのではないか」と懸念する声が出ているという。どうにも品のない表現だが、実際、このような危機感を抱くことは理解できる。安倍政権が領土交渉を通じて得るはずだった“果実”とはほど遠いものだからだ。
共同経済活動はロシアの主権下で行うというロシア側の姿勢の背景を、《読売》は、ロシアの国内事情に求めている。いわく、このところのプーチン氏は、クリミア併合で愛国主義を盛り上げ、高支持率につなげていることを考えれば、領土問題で対外的に柔軟な姿勢を見せてしまえば世論の反発は必至、「プーチン氏の求心力も低下しかねない」という訳だ。
《読売》のこの見方に《朝日》の見方を併せ考えれば、ロシアにとって、2島を引き渡す、ないし、返還することなど、国内外の諸情勢を観ればまったくあり得ないことだと言ってよいだろう。









