首脳会談開催場所の政治学
【東京】は1面左肩。因みにトップはオスプレイ事故。その他、日露首脳会談関連は2面の解説記事「核心」で、3面にも及ぶ。あとは6面に会談要旨。見出しを以下に。
- 北方領土「1対1で95分」
- 共同経済活動 首相「特別制度で」
- 主題 領土か経済か
- 互いの思惑 綱引き
- 食い違う「共同経済活動」
- 「日ロの特別な制度」「ロシアの法の下で」
- 「2+2」再開一致
- 米の反発 招く可能性
uttiiの眼
2面の「核心」には、首脳会談をどこで開催するかについての、“開催地の政治学”のようなものが展開されていて興味深い。
日本側は長門会議で領土問題をじっくり話し合って詰め、「長門宣言」の形で結実させたいと考えていた。しかし、ロシア側は長門会議が決まった後も《東京》開催にこだわり、日本側もその要求を受けて東京会議が実現。東京では日ロの経済団体関係者が集まる「日露ビジネス対話」が同時並行で開かれる。350人に上るロシアの訪問団はプーチン訪日に合わせて編成されたものだという。「東京会議」は文字通り、経済一色となることだろう。
長門は「領土」、東京は「経済」。こんな棲み分けの構図だが、実は、この棲み分け、完全ではなかったようだ。長門会議ではなるほど領土問題が話し合われたが、夕食会では先端技術など8項目の経済協力プランについて進捗状況が話されている。「長門」にも“経済”が紛れ込んだ。
これだけ見れば、日本側が経済協力を餌にして領土問題での進展を目指したのに対して、ロシア側はその逆。領土問題を餌にして経済協力を勝ち取ることを目指していたことが分かる。プーチン訪問団は、全体として見れば、“経済使節団”ということになるか。
image by: Semen Lixodeev / Shutterstock.com
『uttiiの電子版ウォッチ』2016/12/16号より一部抜粋
著者/内田誠(ジャーナリスト)
朝日、読売、毎日、東京の各紙朝刊(電子版)を比較し、一面を中心に隠されたラインを読み解きます。月曜日から金曜日までは可能な限り早く、土曜日は夜までにその週のまとめをお届け。これさえ読んでおけば「偏向報道」に惑わされずに済みます。
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