仕事も宿題も同じ。やる気スイッチが入る「とりあえず方式」とは

 

とりあえず一問方式で見通しをつける

もう一つ、とてもいいのがとりあえず1問やっておくことです。「遊んでもいいよ。でもその前に算数プリント1問だけやっておこう」、あるいは「漢字書き取り一字だけ書いておこう」と言うのです。

1問やるとき、他の問題は全部隠して1問だけ見てやるということはあり得ません。当然、全体が目に入ります。つまり、全体量がわかって終わりも見えるのです。すると、漠然とですが、「だいたいこれくらいでできるな」という見通しがつきます。こうなっていると、本格的に取りかかるときのハードルがぐんと下がります

これは大人の仕事でも言えることです。何か仕事をしていて、見通しがつかないときは大変です。全体量がわからない、現在地もわからない、後どれだけやればいいのかもわからない。こういうときは苦しいです。なかなかやる気がわいてきません。

ところが、出口がちらりと見えた瞬間、後どれだけやればいいのかわかって見通しがつきます。すると、気持ちが楽になってやる気もわいてきます。仕事も宿題もまったく同じなのです。

そして、この子の場合、1問やるときに軽くスイッチが入るようで、2問、3問、あるいは半分、時には全部やってしまうこともあるそうです。でも、これはおまけです。たとえ1問でもやっておくとハードルが下がるということです。

このとりあえず一問方式は、夏休みなどの長い休みにも応用できます。例えば、朝食を食べ終わって8時から勉強開始と決めた場合は、朝食を食べる前に一問だけやっておくのです。すると、朝食後に本格的に取りかかるときのハードルが下がります。

大人の仕事にも「とりあえず○○方式」が使える

実は、私も自分の仕事にこういった「とりあえず○○方式」を応用しています。私は今教育評論家という仕事をしていますが、仕事の依頼はほとんどすべてメールできます。

例えば、「○○というテーマでコラムを書いてください」という依頼をいただいたとします。そのメールを読んだとき、「ああこのテーマか…。けっこう難しいなあ。また後でやろう」と思って何もやらないでいると、どうなるでしょう? だいたい次の日も「ああ、これは面倒だな」ということで何もやらないということになります。そして、あっという間に締め切り日ということになりがちです。こういうことを何度経験したかわかりません。

実は、そのメールを読んだときが勝負の分かれ目です。とにかくゼロで終わらないことです。今私がやっているのは、そのメールを読んだとき、やる気がなくてもそのテーマに関するキーワードを3つくらい書き出しておくということです。つまり、とりあえずスリー・キーワード方式です。

やる気がないときは深く考えません。そのテーマについて直感的に浮かんだキーワードを書き込んで、ファイルの名前をつけて、それで終わります。また次の日、パソコンを立ち上げて、「ああ、このテーマが面倒だな。やる気が出ないな」と思っても、またキーワードを3つくらい書き込みます。その次の日も、だいたいやる気はわかないので、また同じことをします。ところが、このようなことを続けてキーワードがたまってくるとだんだん方向性が見えてきます

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