なぜ人は、「ほら話」は信じないのに「詐欺」を信じてしまうのか

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日本のみならず世界中に数多く残る「ほら吹き」を主人公にした昔話や小咄。無料メルマガ『1日1粒!「幸せのタネ」』では、これらの「ほら話」に通底する共通点を上げながら、「詐欺」と「ほら話」の興味深い関係性についても考察しています。

ほら話と詐欺

日本でも世界でも、昔話の一つのジャンルに「ほら吹き」の話があります。「ほら吹き男爵の冒険」は世界の童話でも有名なお話ですが、この主人公のミュンヒハウゼン男爵はドイツの実在の貴族です。男爵が周りに語って聞かせたほら話が元になってできた童話です。ちなみに「ミュンヒハウゼン症候群」という精神疾患の病名はこの男爵の名前が元になっています。

日本でも、大量に捕まえた鴨を腰の周りに付けたところ、空を飛んでしまう羽目になる「鴨取り権兵衛」などは有名な話。この話は、落語「鷺取り」でも似たような展開があります。

鷺や鴨を取るのも、田んぼで立っていた鴨が、夜中、田んぼが凍って動けなくなるところを「鎌で刈って取った」のような話になる「弥次郎関東)」「鉄砲勇助(関西)」もあります。

ほら話は、全国各地に似たような話が伝承されていて、それらがまたくっついたり改変されたりして、様々な形になっています。

ただ、共通しているのは、すぐにウソだ!とわかるところ。

「鉄砲勇助」という上方落語では、向こうからものすごい勢いでやってくる猪の「牙」をガシッと受け止めて…と言ったところで、「猪に牙があるか?」と突っ込まれます。「じゃあ羽をつかんで」「羽もあるか!」というやりとりになって、「ではどこをつかみましょう?」というオチでウソがバレる。

こういう「すぐにわかる」からこそ、聞いた方も「アホなことを言ってる」と笑いに変えられる。

今ではこういう「ほら話」というのは新しくは生まれにくい気がしますね。すぐに「ありえない」と「真面目な指摘が飛んできて終わってしまいそうです。

でも困ったことに「ありえない」と言いたくなるような話が多いのが「鷺」…、ではなく「詐欺のお話

こちらも「お金が有り余っているのでもらってください」といった「ありえないでしょ!」と言いたくなる話でひっかけようとしてきますが、なぜか被害が後を絶ちません。

「真剣」に耳を傾けてしまうからでしょうか?

それなら、「ほら話」文化を復活させて、みんなで「ありえない!」と笑い飛ばしてしまうようになれば、詐欺に引っかかる人も少なくなるかもしれませんね。

image by: Shutterstock
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