世界の「中国離れ」がますます加速。人民元崩壊の足音が聞こえてきた

 

さらには中国からは違法なキャピタルフライトも加速しており、資金流出が止まらない状態です。とくにトランプ相場により、資金の流出はますます早くなっています。そのため人民元は1ドル6.89元近辺と、8年ぶりの安値水準に落ち込んでいます。

中国からのアメリカへの純資金流出(流出と流入の差額)はアメリカ大統領選から膨らみ続け、今年の11月までの12カ月合計では1兆ドルにも及んでいると報じられています。そして中国当局の取締りをくぐり抜けた資本逃避は5,000億ドル、日本の歳出の約半分前後の50兆円以上の金が人々とともに中国から大脱走しています。

米国第一主義、トランプ氏が「沈む中国」を踏み台に なだれこむ巨額資金

問題は、中国が為替介入をするほど外貨が流出しますから、それをヘッジファンド筋に狙われれば、中国通貨当局が支えられなくなって人民元が大暴落する可能性が高まっているということです。加えて、ドナルド・トランプ氏は中国を為替操作国に認定すると公言していますから、露骨な為替介入は難しい状況です。

ドイツ銀行は今年10月のレポートで、今後2年間に人民元が対ドルで17%下落するというレポートを発表しました。これはトランプ氏が次期大統領に決まる前の予測ですから、現実には下落幅はさらに広がることと思われます。

しかもトランプ氏は中国の産品に対して高い関税をかけるとも主張しています。通常は通貨の価値が下がれば輸出競争力が高まりますが、関税をかけられれば、そのメリットを享受できなくなります。中国にとってアメリカは最大の輸出国ですが、そのアメリカが中国製品をもう受け付けないとしているわけです。

そうなれば、輸出が落ち込む一方で、輸入コストが大幅に上がるという、負の面しかなくなることになります。すでに食糧輸入国に転落している中国にとって、これは死活問題です。

先般、アメリカとEUに加えて日本が中国をWTO(世界貿易機関)協定上の市場経済国地位を認定しないことを決めました。過剰生産された鉄鋼などを世界に対して不当廉売してきたことが理由です。これに対して中国は猛反発しています。人民日報は「中国の市場経済地位認定を拒否する西側は代償を払うことになる」という記事を書いて欧米日を批判しています。それだけ後がないということの現れでもあります。

中国の市場経済地位認定を拒否する西側は代償を払うことになる―中国紙

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