トランプが仕掛ける米中冷戦で、日本が漁夫の利を得る可能性

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前回掲載の記事「EU崩壊?キリスト教が危機に?日本は?ド~なる、2017年の世界」で、グローバリズムが生み出したさまざまな問題と今後の世界の展望について考察した無料メルマガ『ロシア政治経済ジャーナル』の著者で世界情勢に詳しい北野幸伯さん。今回は「アメリカと中国は対立する」と断言した上で、オバマ大統領からトランプ次期大統領へと引き継がれる米政権の行く末と、アメリカの動きに翻弄される日・中・ロそれぞれの関係について占っています。

2017年はどうなる?~米中覇権争奪戦のはじまり

今回も、「2017年はどうなる?」を考えます。前回は、二つの時流のうち一つ目、「グローバリズムからナショナリズムへ」を見ました。

EU崩壊?キリスト教が危機に?日本は?ド~なる、2017年の世界

今回は、もう一つの時流について考えます。それは、「アメリカと中国は対決する」という時流。

世界は、「米中二極時代」

第2次大戦終了から1991年までを、「冷戦時代」と呼びます。別の言葉で、「米ソ二極時代」。

1991年12月、ソ連は崩壊し、新しい時代が到来した。二極の一極(ソ連)が消え、一極(アメリカ)だけが残った。それで、1992年から世界は、「アメリカ一極時代」になった。

「アメリカ一極時代」は、08年に始まった「100年に1度の大不況で終焉しました。そして、また新たな時代に突入します。

09年から世界は、「米中二極時代」になりました。世界は、GDP、軍事費世界1位のアメリカ、GDP、軍事費世界2位の中国を中心にまわっている(中国のGDPは、2010年日本を抜いて世界2位になった)。しかも、米中の関係をみれば、明らかに、「沈んでいくアメリカ昇っていく中国」という関係だった。

オバマ外交の迷走

オバマ大統領の1期目(09~12年)、外交らしい外交はほとんどありませんでした。というのも、「100年に1度の大不況克服」で忙しかった。しかし、2期目になると、オバマさんは、かなり積極的な外交をするようになっていきます。

ところが、彼の外交は、アメリカの国益にまったく一致していないものでした。2013年8月、オバマは、シリア・アサド軍が「化学兵器を使った」ことを口実に、「シリアを攻撃する!」と宣言しました。しかし、2013年9月、「やっぱ、やめた」と戦争をドタキャン。世界を仰天させました。

2014年2月、ウクライナで革命が起こり、親ロシアのヤヌコビッチ政権が崩壊。2014年3月、ロシア、クリミアを併合。アメリカは、欧州、日本を巻き込んで、対ロシア制裁を発動。2014年8月、イスラム国への空爆開始。

このように、「アジア・ピボッド」「アジア・リバランス」などと言いながら、やってることは、シリア問題、ウクライナ、ロシア問題。この期間、中国は誰にも邪魔されることなく、南シナ海の埋め立てを行うことができたのです。オバマが迷走している間習近平は、「中国の夢にまい進していました。

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