なぜ医者によって出す薬が違うのか?日本の医療に残された問題点

 

比較デザインが重要

ただし、この比較法はそのやり方やデザインによって効果が大きく異なります。やり方がよくなければ、予期せぬ反作用をもたらすこともあります。代表的な反作用には平均への回帰という現象があります。これは、価値の非常に高い医療を展開していた医師が同僚のやり方を知って以降価値を下げた医療を提供してしまうことです。周りに合わせて妥協することもあるのです。

比較結果の公表法デザインには無記名法と記名法があります。また、全員の結果を公表する方法と上位者の結果のみを公表する方法があります。

さらには、模範的な医療介入のあり方を示しながらフィードバックする方法と単に比較データのみを公表する方法があります。これらのデザインについて、どの方法をもちいた方がより効果的な結果が出るかについてはまだ未確定です。今後はこの分野の研究を重ねることにより、効果の高いデザインで同僚との比較結果を公表することが必須となると考えます。その結果が出てくるようになれば、どの医療機関に受診するかについて迷うことは少なくなるでしょう。

文献
Navathe AS, Emanuel EJ. Physician Peer Comparisons as a Nonfinancial Strategy to Improve the Value of Care. JAMA. 2016 Nov 1;316(17):1759-1760.

image by: Shutterstock.com

 

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