コックピットでのメンタルヘルス
このように、過小報告の問題をクリアした今回の研究結果は、心理的ストレスの多い航空現場の現状と、それを隠すパイロットたちの苦悩を浮き彫りにするものでした。多くのパイロットたちはうつ病に罹患しておりました(約13%)。
中には自殺念慮を持つパイロットもいることが判明(直近2週間での自殺念慮が約4%)。それに、そのような症状を持つパイロットたちの多くが、差別とそれによる失職への恐れから、治療を受けていないということもわかったのです。
日本人パイロットは大丈夫か?
世界の国々の中でも、日本はうつ病の患者が多く自殺者も多いことで有名です。今回の研究の対象者の多くは北米やオセアニア地域のパイロットたちでしたが、日本人パイロットでも同程度以上の傾向があるものと考えられます。
症状の出方には男女差もあり、男性パイロットで集中力低下を感じやすいということがわかりました。女性パイロットは、心理的不健康を感じる日数が多いということもわかっています。
また、抑うつ症状に関連するものには、睡眠導入剤の使用歴がありました。また、セクハラやパワハラを受けた経験も抑うつ症状と関連していたということです。
民間航空機のパイロットは、世界中で多くの人々の生命に責任を持つプロフェッショナル。アルプスでの悲劇を繰り返さないためにも、パイロットたちの心理的な健康状態を差別無く正確に把握して、きちんとした予防、治療と長期的サポートを提供するシステムを導入すべきでしょう。
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