尖閣「安保適用」確認にしがみつく日本の安全保障の危うさ

 

すべては空しい虚空の儀式

それにしても、あの「日米共同声明」の空しさはどうだろうか。読者の皆さんも是非とも全文を一読して頂きたいが、まあ2,300字ほどのよくできた文章であるけれども、私が想像するに、両首脳はここに書かれたことの10分の1も議論していない

日米共同声明

例えば共同声明には、「両首脳は、日米両国がキャンプ・シュワブ辺野古地(沖縄県名護市)およびこれに隣接する水域に普天間飛行場同県宜野湾市の代替施設を建設する計画にコミットしていることを確認した。これは、普天間飛行場の継続的な使用を回避するための唯一の解決策である」と麗々しく書いてあるが、これは嘘八百で断言してもいいが両首脳はこんなことを議論していない

トランプはキャンプ・シュワブも辺野古も普天間も知らないに決まっているから、その話になれば、「それはどこにあるのか」ということになり、安倍首相は沖縄の地図とSACO合意の21年に及ぶ迷走の歴史を示す年表とかを持ち出して説明しなければならなかったはずで、それだけで40分間は終わってしまう。辺野古が「唯一の解決策」であると安倍が言ったとすれば、トランプはどうしてそうなのかと聞くだろう。あるいは、尖閣と言ってもそれがどこにあるかなど彼が知る訳もなので、ここでもまた地図を開いて解説をしなければならず、そうしたことのどれ1つとっても40分間では足りない。それでいて、翌日のフロリダでのゴルフには何時間を費やすというのでは、不謹慎と言われても仕方ない。

image by: 首相官邸

 

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早稲田大学文学部卒。通信社、広告会社勤務の後、1975年からフリー・ジャーナリストに。現在は半農半ジャーナリストとしてとして活動中。メルマガを読めば日本の置かれている立場が一目瞭然、今なすべきことが見えてくる。

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