尖閣「安保適用」確認にしがみつく日本の安全保障の危うさ

takano20170213
 

各メディアがこぞって「成功裏に終わった」と喧伝しているようにも受け取れる日米首脳会談。その理由のひとつに、尖閣諸島が日米安保条約の適用対象として確認されたことも大きいとされていますが、メルマガ『高野孟のTHE JOURNAL』では、安倍首相訪米前日に習近平国家主席と電話会談したトランプ大統領が「1つの中国」原則を尊重する旨を伝えたことなどを上げ、今回の日米首脳会談の成果自体に疑問符を付けています。

「尖閣は安保の適用範囲」確認にしがみつく安倍首相の滑稽──半ば破綻している「中国包囲網」外交

トランプ米大統領との初めての首脳会談で安倍晋三首相が最も力を入れたのは、新大統領に「尖閣諸島は日米安保条約の適用範囲であると明言させることであったが、その目的は達成された。新聞各紙も「尖閣に安保、共同声明」(朝日)、「『尖閣に安保』明記、核による防衛も」(読売)など、そこを12日付朝刊の一面トップに持って来ている。

10日の共同会見の冒頭発言でトランプは(メモを見ながら)「私たちは日本とその施政下にあるすべての領土に対する安全保障に関与し、両国の極めて重要な同盟関係を一層強化します」と述べ、それを受けて安倍首相が「安全保障環境が厳しさを増すなかにあって、尖閣諸島が安保条約第5条の対象であることを確認しました。米国は地域におけるプレゼンスを強化し、日本も積極的平和主義の旗のもと、より大きな役割を果たしていく考えです」と、踏み込んで解説した。また発表された共同声明にも、そのような趣旨が日本側の注文通りと思われる表現で長々と述べられている。

これは一体何の騒ぎなのかと言えば、中国に対して「万が一、尖閣に手を出すようなことをすれば、ウチの親分が出てくるんだからな!」と凄味を効かせるために違いないが、果たして意味があることなのかどうか。

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