トップの役割は、従業員をして顧客の求める「最高のもの」を創り上げるために人材を育成もしくは探し出し最高の環境条件を整えて任せることです。ソニーは画期的な製品を次々に世に送り出しましたが、テープ・レコーダーの責任者だった木原信敏さんが当時おんぼろ会社だったソニーに入社したのは、「井深さんの会社なら、好きなことをやらせてくれそうな気がする」でした。
企業を始めるに際して大切なことは、ソニーの趣意書が示すように「ミッション」つまり存在の意義を明確にすることです。人は「自分の好きなことに思い切り挑戦でき、それで生活できるなら」、さらにそのことで「他から賞賛され」なおかつ「世のため、人のためになる」なら、「人生の幸せが、ここに至れり」ということになります。
顧客が求める「最高のもの」を創り上げようとするとき、経営者は鬼にならなければなりません。鬼からせっつかれ堪え得るのはもしくは楽しめるのは「有意義で、好きなこと」ができる時で、このことを知ることが松下さんの言うところの「経営のコツここなりと気づいた価値は百万両」にあたります。
人にはもともと「働きたいという欲求」や「成長したい欲求」や「挑戦したい欲求」や「貢献したい欲求」や「認められたい欲求」さらに「表現したい欲求」「知りたい欲求」「仲間がほしい欲求」があります。これらの欲求があればこそ、今の世の中に文明が発生しました。この欲求を満たすことができる経営者こそが、最高の経営者と言えそうです。
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