名経営者に学ぶ 出光佐三
戦後ゼロからの再出発をした出光は、苦難を乗り越え、どうにかタンカーを有するまでになったのですが、独資を貫いたためにアメリカメジャーから締め出しに合い、遂には油の輸入ができなくなります。
会社にあるお金であと半年で会社は立ち行かなくなります。出光佐三は、これだけあれば、社員の再就職先を決めるには十分と考えて、会社の整理にかかろうとしていました。
そんな矢先、イランの石油を買わないか? と、話が舞い込みます。
当時のイランはイギリスから独立したばかり、石油施設の全てはイギリスが建設し、イギリスが石油の権利を主張していました。
イランが海外に石油を売ろうとすると、イギリス海軍が邪魔をします。タンカーを拿捕し、イギリス軍が取り上げるのです。実際に、イタリアのタンカーが拿捕され、世界中どこも、イランの石油を買おうとはしていなかった。非常に危険性が高く、拿捕だけではなく、撃沈される恐れまであったからです。
さて、あなたが経営者なら、この時どんな決断をしますか? アメリカメジャーに頭を下げ、資本提携をして、油を供給してもらう。そうすれば、普通に油を買うことができます。
ただ、出光佐三は、日本の油が外資に握られることは、日本の独立性を妨げると考え、ここまで、独立独歩を貫いていました。
商売を変える。油以外の商品を売るという判断もできます。実際戦後は、ラジオ修理から漁業まで、食うために何でもやった会社です。
潔く会社をたたむ。社員を引き受けてくれる会社を探し、会社を整理して綺麗にたたむ。これも一つの考え方です。
さあ、あなたはどんな判断をするでしょう?