一方で成長事業に対しては積極的に投資を行う方針を掲げています。2017年3月期までの3年間で研究開発費2,200億円のうち、500億円をメディカル事業などの新規事業に投資する計画です。
新規事業の開発を推し進めることで不振のカメラ事業をカバーしようとしています。新規事業の一つとして例えば「メディカル事業」を有望市場として捉えています。高齢化が進む日本では医療ニーズが高まっています。そうした背景から、2013年に新規事業のターゲットに「健康・医療分野」を選択し、メディカル事業を育てていきました。
ただ、現状のメディカル事業の規模は大きいとは言えません。2016年3月期の売上高は183億円で、構成比はわずか2.2%にすぎません。営業損益は赤字を計上している状況です。収益の柱となるのは先の話になるでしょう。同分野ではオリンパスや富士フイルムといった競合企業が先行し、大きく立ちはだかっています。
今年2017年は創立100周年にあたります。1948年に小型カメラ「ニコンI型」を発売し、カメラ事業を拡大していきました。カメラ製品の技術は世界トップクラスです。アポロ15号にニコンのカメラが搭載されました。スペースシャトル用宇宙カメラをNASAに納入しています。世界初となる水中撮影用AF一眼レフカメラや世界初の顔認識機能を搭載したデジタルカメラ、世界初のWiFiを搭載したデジタルカメラなどを開発しました。
ニコンブランドは世界でも認められています。デジタルカメラでいえば、世界市場シェアはおよそ30%にもなります。高速連写、画質、画像処理などの技術は他を凌駕するレベルにあります。高級一眼レフカメラではキャノンと並んでプロカメラマンの間で絶大な信頼があります。
ニコンは今正念場を迎えています。カメラ市場は急激に縮小しています。キヤノンなどの競合のカメラ企業は続々と他の事業を拡大し、脱カメラを推し進めています。ニコンはこの点で遅れているといえるでしょう。カメラの新たな楽しみ方を提案するとともに、カメラ製品以外の分野の強化が必須といえます。ニコンはどのように変貌していくのでしょうか。
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