金子みすずではありませんが「みんなちがって、みんないい」というのが、マネジメントの秘訣です。
例えば、細かいミスもあるけれど仕事が早い部下A、仕事が遅いけれどもミスが全くない部下Bがいて、「仕事が遅い奴はダメだ!」という基準でBを切り捨てて、仕事が早い部下をもう一人入れる、というリストラは、良い経営でしょうか? それよりも、Aにこの部分を、Bにこの部分をさせると以前より2倍以上仕事のクオリティが上がった! という効果を出すことこそ、経営です。
「じゃあ仕事が遅くてミスも多い部下Cはダメだよね?」と考える人も多いかもしれませんが、人間の基準が仕事のスピードとミスの大小だけであればそうなるけれども、そうでないのが組織です。つまり、少ない基準だけで人間を見れば見るほど、余計な人間がすごく増えてしまうのですが、様々な基準で人間を見れば見るほど、たくさんの戦力が増えていくことになります。
この視点の違いだけで、組織のパワーが断然変わってくるのです。
これは、子育てなどでも同じです。兄弟がいると「長男と次男は頭がいいのに、三男だけはバカでどうしようもない」といったことに悩む親がよくいます。
でも、兄弟全員が一つの能力にそろう必要はないのです。むしろ、3人全員が同じ方向に突き抜けている、という例のほうが少なくて、長男はこちらに、次男はこっちに、三男はあっちに、とバラけてしまうのが普通ですよね。
親が同じ3人兄弟でさえ、そうなのです。もともと他人だった人たちが集まっている職場で、そんなことが起きるのは当たり前のことです。いろんな人がいるということは、「うちには、いろんな戦力があるんだ」と思えることが大事です。動物園のように、いろんな動物がいてくれるほうが、全体的にいろんな魅力が生まれるのです。そんな動物園的な経営が、動物園だけにズーっと強い力になっていくのです。
【今日の発想源実践】(実践期限:1日間)
- 自分の部署を動物園だと仮定すると、それぞれのメンバーは、その長所からどの動物に喩えることができるか。それぞれノートに書く。
- 自分の部署の全体的な強みは何か。ノートにまとめる。
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