もし、機会があったら、交渉の時、できる限り沈黙し、かつ、相手の言葉に同意せず、首を縦に振らないようにしてみてください。そして、相手の表情をよく観察してみてください。不安の表情が出てくるはずです。そうすると、少し落ち着くことができるでしょう。必ずしも口べたが不利とは感じなくなると思います。
とはいえ、交渉の場で相手が話し続けているような状態で、冷静を保っているのは非常に難しいのも事実。そういう意味で、口下手な人が、結果的に満足のいかない合意をしてしまうケースは多いのは確かです。
口下手な人に限った話ではありませんが、交渉の場で冷静を保つための絶対条件として、事前準備があります。今回の交渉の勘所がどこにあるのか、相手の要望はどこにあるのか、そして自分がどこまでなら譲歩できるのか、どこは譲れないのか、整理して交渉の場に臨むことです。
事前のシミュレーションが十分であれば、交渉の場で相手にいろいろ言われても、重要なこととそうではないことの区別がつき、慌てにくくなります。
交渉がうまくいかないのは、口下手それ自体が原因ではありません。現状を見失わず、平常心でいられれば、口下手なあなたのままで、交渉の達人になれるかもしれません。
「時をえた沈黙は英知であり、いかなる雄弁よりもまさる」(プルタルコス)
今回は、ここまでです。
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