数ある総合週刊誌の中で13年連続実売部数トップを走り続ける「週刊文春」。「ホンが売れない」と言われて久しい昨今ですが、なぜ文春は「完売に次ぐ完売」を記録できるのでしょうか。今回の無料メルマガ『ビジネス発想源』では、そんな文春の現役編集長の著書が紹介されています。
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最近読んだ本の内容からの話。
1989年に文藝春秋社に入社した新谷学氏は、「Number」、「マルコポーロ」、月刊「文藝春秋」などの編集部を経て、2012年に「週刊文春」の編集長となった。新谷氏が編集長に就任するや「週刊文春」は、「小沢一郎 妻からの『離縁状』」「巨人 原監督が元暴力団員に一億円払っていた!」という独自ネタで注目を集め、創刊以来初の2号連続完売を成し遂げた。
「ASKA氏の覚せい剤疑惑」、「佐村河内氏の偽ベートーベン事件」、「清原和博氏の覚せい剤疑惑」など、次々に世の中を賑わすスクープを連発し、新聞やテレビなど多くのメディアは後追いするだけ。2016年には「ベッキーとゲス川谷の禁断愛」、「甘利明氏の金銭授受疑惑」、「SMAPの裏切りと屈服」などで完売を記録。
「週刊文春」は総合週刊誌の中で実売部数13年連続1位を走り続けており、雑誌業界は斜陽と言われている今、まだまだペンの影響力が健在であることを知らしめている。
新谷氏は、編集長になって最初の挨拶で、「週刊文春の最大の武器は、スクープ力だ。スキャンダルは雑誌の華。どんどんいいネタを持ってきてほしい」と全員に言った。「週刊文春」がトップの座を維持しているのは、「週刊文春」が「スクープを狙う」という戦い方を変えていないからだ、と新谷編集長は語る。
「週刊ポスト」や「週刊現代」などライバル誌はヘアブームに乗っかったり、「死ぬまで性行為」などの高齢層をターゲットとした企画を出したりして売上を伸ばしたが、一時的だった。こうした「頭で考えた企画モノ」には、どうしても限界がある。
「週刊文春」の場合は、常に目の前の「生ネタ」を追い続けてフルスイングし、うまくジャストミートすればホームランになる、そんな戦い方を続けている。スクープこそが「人間への興味」の原点であり、知らないことを知りたい、おもしろいことを知りたい、おもしろいことを聞いたら人に伝えたい、という好奇心が人間にあるからこそ、スクープには圧倒的な価値がある。