加計問題から感じる「イジメ」の空気。もう自由は死んだのか?

 

もうすでに自由はないのかもしれない。

文科省の文書の存在はともあれ、当時の事務方トップが「ゆがめられた」と発言した事実そのものは重い。ゆがみの原因を作った政府の反省はなくただ排除しようとする権力のあり方は独裁国家と同じである。

元総務相、元鳥取県知事の片山善博・早稲田大教授は朝日新聞のインタビューで、「安倍1強」で自民党内でも異論が出ず、大臣も物言う役人を守ることもなくなったとし、それは2014年の内閣人事局発足以降の風潮だと説明した。その上で「役人にとって人事は一番大事。北朝鮮の『最高尊厳』、中国の『核心』。そして今回の『官邸の最高レベル』。似てきてしまったのかなと思います」とコメントしている。こんなコメントをする片山教授を政府はやはり攻め立てるのではないか、という不安も出てくる。となれば、すでに言論の自由など無くなったのかもしれない。

何をすればよいのだろう。本稿で何度も言うように、イデオロギー対立の時代は終わった

自由であるはずの国家の中に生きながら、実は沖縄戦末期の自由と同じなのかもしれないという危機感を、今回の「役人が自由にものを言えない」状況から感じ取るべきなのであろう。

今、何が脅かされそうになっているのかを考えた場合、精神疾患者や障がい者とともに過ごしている私は、社会的にケアが必要な視点、弱い立場にいる人の視点を尊重しながら、多くの方の幸福や生きやすさを描いていくために、日々当事者と向き合いながら、言論なりメディアなりを構築していきたいという決意が生まれてくる。そのために、体力を付けたい。その体力とは私たちが築き上げてきた叡智を確かめ時代に対応させて説明していく力のことである。

より多くの人の不幸を減らし、幸福になる人を増やしたいという純粋な気持ちのまま問題に向き合い、その思いを押しつぶそうとする権力による行為には徹底的に抗いたい

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特別支援教育が必要な方への学びの場である「法定外シャローム大学」や就労移行支援事業所を舞台にしながら、社会にケアの概念を広めるメディアの再定義を目指す思いで、世の中をやさしい視点で描きます。誰もが気持よくなれるやさしいジャーナリスムを模索します。

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