キッシンジャーが語る「日米同盟」の「本質」
キッシンジャー、周恩来は、「日本は、偏狭、自己中心で危険な国」ということで意見が一致しました。そうなると、当然「危険な日本をどう抑えるか?」という問題がでてきます。キッシンジャーは、「日米同盟の本質」を周に解説します。
日本が独力で国防を行えば、軍備拡張で周辺諸国にとって脅威となるだろう。現状の日米関係は実際には日本を束縛しており、もし米国が(日本を解き放す)皮肉な政策をとれば日中の緊張を引き起こす。
「日米関係(=日米安保)は、日本を束縛している」そうです。そう、ここに「日米安保の本質」がある。日米安保は、「共産ソ連から日本を守るために存在した」というのは、もちろん事実です。しかし、一方で「アメリカが日本を支配する道具」でもある。キッシンジャーは、そのことを認めています。彼は、さらに「日米同盟の本質」を深く解説します。
日本が太平洋にある米国の従順な身内だと考えるような米国人はお人よしだ。日本は独自の目的を持ち、ワシントンではなく東京でそれを実行している。日本びいきの向きがある人たちは日本を利用しようとするが、それは危険だ。米国は対日基本政策として、核武装に反対し、自国防衛のための限定的な再武装を支持し、台湾や朝鮮半島への軍事的拡張に反対している。
日本が再び強力にならないようアメリカは、
・核武装に反対する
・最低限の武装しかさせない
そうです。
では、日本がアメリカから離れたらどうする?
なんといっても戦争が終わってから26年しか経っていなかった時代。中国は、日本の復活を恐れていた。それで、周は「日本の防衛力拡張を抑えることができるのか?」とキッシンジャーに問います。キッシンジャーはいいます。
もし、日本に強力な再軍備拡張計画があるならば、伝統的な米中関係が再びものをいうだろう。日本を自国防衛に限定するよう最善を尽くさなくてはならず、日本の拡張阻止のため他国と共闘するだろう。
決定的な言葉が飛び出しました。日本がアメリカから自立して軍備を拡張すれば?
<伝統的な米中関係が再びものをいうだろう。>
これは、なんでしょうか? 第2次大戦中、アメリカと中国は、同盟関係にありました(もちろん、中国は、共産党ではなく、国民党でしたが…)。
日本が再び強力になれば、「伝統的な米中関係」つまり「米中同盟」が復活し、「米中は、協力して日本を叩きつぶす」といっているのです。このことを、日本は決して忘れてはいけません。
日本には、「核武装すれば、すべて解決する」と安易に考える人がいます。しかし、日本がアメリカの許可なしで核武装すれば、
1 日米同盟は解消され、
2 米中同盟ができあがり、
3 日本は叩きつぶされる
ことでしょう。ちなみに日本を叩きつぶすのに、武器はいりません。米中が一緒になって、「日本が原油、ガス、ウランを輸入できないように」すればいい。米中が一体化すれば、簡単なことです。