【書評】皇室ジャーナリストが明かす「皇宮警察」の知られざる姿

 

警備部は皇居や御用邸などの警備、一般参賀や園遊会などの警備にあたるほか機動隊の機能を持つ隊も所管する。坂下、吹上、赤坂、京都の護衛署を持つ。皇宮護衛官になるためにはまず公務員試験に合格しなければならない。二次試験は面接と身体検査。身長、体重、色覚、視力、四肢の運動機能には制限がある。

体力テストもあり、基準に達しないものが一つでもあると不合格。競争率は大卒・高卒合わせた数字で2013年度27.5倍2014年度45倍だという。合格者は全員が皇宮巡査に任じられる。男女ともに全寮制。皇宮警察学校で大卒15か月、高卒21か月の研修と実習を受ける。その内容がこの本で詳しく描かれている。

座学と教養講座、警備訓練などの内容を密着取材。警備訓練の厳しさはすさまじい。実際の重い装備(6kg)をして屋外で行われる。5kgの楯を持ち隊列を組んでの駆け足。著者は駆け足後に男女とも1/3が倒れ込んだのを見る。そして楯を使った防備訓練。写真も多く掲載されている。身体を使った訓練は、ほかに柔道、剣道、弓道、逮捕術、射撃訓練、救急法訓練などがある。

座学では皇室に関する教養と警防、英会話、茶道、華道、書道、短歌、詩吟などがある。皇宮警察学校を卒業すると、各門での立番を経験する。正門の立番だけは儀杖勤務と呼ばれる。直立不動で一時間、微動だにしない。1時間が経過すると(それが限度らしい)次の二人と交代、このセレモニーが美しい。

皇宮護衛官になりたい人は必読の本であるが、これを読んで怖じ気づく人も少なくないだろう。著者は、人間は鍛え方によって短期間でこんなにも変わるものかという驚きを述べる。定年退職して再就職した人がいるが、履歴書だけで即内定の例もあったという。皇宮警察の社会的な信頼度は高い。孫の配偶者に欲しいな~。

編集長 柴田忠男

image by: Windyboy / Shutterstock.com

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