イメージとかなり違う。日本人はまだオランダ人を知らない

 

しかしその一方で、被災地・貧困救済などの対外援助活動や環境保護には熱心で、郊外の森にはゴミひとつ落ちていない。言い換えれば、「私」の部分はいたってマイペースだが、公徳心をきちんと持ち合わせているのである。
金が大切だという価値観では共通しているが、ひたすら私利私欲のための奔走し贅沢三昧の六本木ヒルズ族に代表される日本の成金とは一味も二味も違うのだ。

なにしろお金の使い方に明確な優先順位がついている。家や家具など、長持ちし価値が上がるものには資金を費やすが、ファッションや食べ物のようにすぐ消えてしまうものには一切無駄遣いをしない。自分の自由と権利を強く主張するが利己主義ではなく、他人の自由と権利も尊重する。極端な例になるかもしれないが、隣の家に飾り窓の女性やアル中、薬中で生活保護を受けている人が引っ越してきても、彼らには住みたいところで生活する権利があると認めて受け入れるのである。

職場も労働者が快適に働けるように配慮され、残業は罪とみなされる。だが、オランダ企業の競争力が日本企業より劣っているという話は聞かない。労働者保護が行き過ぎているのではと思われるところもあるが、滅私奉公ではなく個人と企業が共栄共存できるシステムを実現していることは間違いない。

教育現場でも子供たちの自主性が尊重されている。先生は生徒にそれは間違っているとは言わない。そうして子供たちの独自性と目的意識を育むのだ。だからオランダ人は身勝手だと英国人は嘆くが、幼い頃から無理やり勉強させられ大学生になった途端に目標を失って遊び呆ける日本の若者よりマシではないか。

オランダでいち早く安楽死が容認されるようになった背景にもこうした自己決定能力重視があるのだ。

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