若者に人気のブランド「サマンサタバサ」。バッグのイメージが強い同ブランドですが、2013年に「レストローズ」などで知られるファッションブランド「ラ・エスト」を買収し、アパレルファッションに参入。しかし、業績は芳しくないようです。無料メルマガ『顧客を喜ばせる世界の成功企業最新戦略紹介』の著者で米国ビジネスモデルコンサルタントの清水ひろゆきさんはその原因として、ブランドコンセプトと目指すべき方向性のズレを指摘しています。
サマンサタバサはカワイイから成長できるのか?
カワイイをキーワードに、アイコンとしてミランダ・カーを起用しているサマンサタバサが、2017年初頭から業績が芳しくありません。
その理由は、2013年に婦人服ラ・エストを買収し、流行に左右される利益を生み出すまで時間のかかるアパレルファッションビジネスに進出したからです。
同社は、誰もが共感するカワイイというキーワードで20代のサマンサタバサファンをこれまで魅了してきました。
サマンサタバサがアパレルファッションブランドになり、同社しかないライフスタイルをイメージできれば、現在14のブランドにまでなった服飾雑貨アイテムとのコーディネートが生まれ、売り上げは伸びるでしょう。
上場企業であるサマンサタバサが売り上げの拡大を狙うのは当然です。が、あえてアパレルによってファッションブランドを構築しようとしたのは何が本当の目的だったのでしょうか?
サマンサタバサはルイヴィトンを目指したかった?
サマンサタバサはルイヴィトンのようにファンがブランドにロック(サマンサタバサブランドを中心に買う熱狂的ファン)される仕組みを、アパレルによってサマンサタバサのライフスタイルを提案することで作り上げたかったようです。
なぜなら、同社のハイエンドブランドハンドバッグの「LAPLUME(ラプリュム)」は、日本製にこだわり、一つ一つ素材選びから縫製まで、日本国内でも限られた技術的に優れた職人による商品作りにこだわった、稀少性の高いもので、まさにサマンサタバサのルイヴィトン的アイテムとして存在しているからです。
サマンサタバサは、アパレルブランドの展開により20代の同社ファンにアパレルにハンドバッグや雑貨をコーディネートする機会を提案し、20代層のファンがカワイイという世界の延長線上にハイエンドブランドのハンドバッグ「LAPLUME(ラプリュム)」を持ちたいという憧れを作り上げることで、ファンがサマンサタバサを卒業する流れを断ち切りたかったのです。