日本マクドナルド、どん底からの営業利益が200倍増。復活は本物か?

 

バランスシートから見たマクドナルドの回復度は?

それでは、続いて業績堅調時の2011年度の中間決算のバランスシートと比較しながら、マクドナルドの回復度を見ていくことにしましょう。
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まずは現金残高ですが、利益水準の高かった2011年度の中間決算では260億円とおよそ月商と同じ程度の現金残高となっていました。一方、2017年度の中間決算では、現金残高は226億円であり、1.1ヶ月分と月商水準では以前とあまり変わらない水準を維持していることがわかります。
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続いては企業の短期的な安全度を測る流動比率を見てみましょう。短期的に資金化できる流動資産を短期的に返済しなければいけない流動負債で割って求められる流動比率は、2011年の133%に対して、2017年は122%。共に100%を大きく超えていますので、すべての短期的な負債の返済を迫られても返済可能であり、まったく安全性には問題がない水準といえます。ただ、水準的には11ポイント程度の差がありますので、流動資産を増やすことによって、かつての水準にまで戻す努力も必要だといえるでしょう。
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マクドナルドのバランスシートで過去と現在で大きな違いがあるとすれば、それは借入金残高です。

2011年には長期借入金として5億円が計上されているのみであり、現金残高が260億円ある状況ではマクドナルドは無借金経営といっても過言ではありませんでした。一方、2014年に起こった消費期限切れ鶏肉原料の使用問題で顧客離れが加速し、業績不振に陥った影響で資金繰りに問題が生じマクドナルドは多額の資金を借入金で調達せざるを得ない状況に追い込まれます。この際に調達した借入金を毎年返済していますが、2017年12月期の中間決算時点でも、長期借入金の残高は219億円と、かつてに比べれば多額の有利子負債を背負う状況が続いているのです。

このようにバランスシートの面からマクドナルドを分析してみると、完全復活は月商程度の現金残高を維持しながら多額の借入金を返済し、かつてのように実質無借金経営という健全な財務体質を取り戻した時といえるのではないでしょうか。

一店舗当たりの売り上げはどうか?

それでは、最後に一店舗当たりの売上高からマクドナルドの完全復活を検証していきましょう。

サラ・カサノバ社長は中間決算の発表の席で、「1店舗当たりの月次売上高は上場以来最も高いレベルになった」と述べています。そこで、2017年12月期の中間決算段階の1店舗当たりの売上高を計算してみると、「システムワイドセールス」と呼ばれる全店舗の売上高は前年同期比282億円増加して2,332億円であり、期末の店舗数2,896店で割ると1店舗当たり半年で8,000万となります。つまり、現在は1年に換算すると1億6,000万円という水準に達しているのです。
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2001年以降のマクドナルドの一店舗当たりの年間売上高は、2010年に1億6,400万円のピークを記録した後に、不祥事の影響で顧客離れが加速した2014年は1億4,400万円、2015年は1億2,700万円と落ち込んでいきます。ただ、2016年には1億5,000万円と回復の兆しを見せ、今期に入るとさらに回復の足を速め、1億6,000万円と上場以来最も高い水準に達するなど、顧客の不信をほぼ払拭し、かつての賑わいを取り戻してきたことがわかるのです。

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