日本マクドナルド、どん底からの営業利益が200倍増。復活は本物か?

 

マクドナルドが完全復活を果たすために必要なことは?

このように財務分析を行えば、着実にマクドナルドは完全復活への道を順調に進んでいることがわかりますが、果たして完全復活を果たすためにはどのようなことが必要なのでしょうか?

現状、完全復活を果たすべく、マクドナルドは「おいしさの向上」「利便性の向上」「人材への投資」という3つを重点分野に定め、革新的な挑戦を続けています。

おいしさの向上」の面でいえば、1月にはレギュラー商品のおいしさに徹底的にこだわる「おいしさ向上宣言」を行い、第一弾としてプレミアムローストコーヒーのリニューアルを実施、4月にはクォーターパウンダーを廃止し、本格的な肉厚バーガーの「グラン」シリーズをレギュラーメニューに加えるなど、顧客の益々高まる期待に応える努力を惜しまずに断行してきました。

また、話題性を高める施策として、1月に顧客からの人気投票でマクドナルドのハンバーガー日本一を決める「第1回マクドナルド総選挙」を開催。1位に輝いたビーフパティとチーズが3枚入ったトリプルチーズバーガー、2位に入ったパティが2枚のダブルてりやきマックバーガーを期間限定で発売しました。他にも6月には「ビックマック祭り」を開催して、通常の1.3倍の「グランドビックマック」と2.8倍を超える「ギガビックマック」を販売し、人気を博しました。

続く「利便性の向上」の面からは、店舗の改装を加速。最高の店舗体験を提供するために、現状2018年末までに90%以上の店舗をモダン化する計画を進めています。加えて、「dポイント」や「楽天スーパーポイント」と提携してマクドナルドでの買い物でそれぞれのポイントが貯められるようになるなど、顧客にとっては魅力的なサービス次々と加えています

そして、最後の「人材への投資」の面からは、店舗のクルーが働きやすい環境の整備や質の高いトレーニングの提供など、人材が即戦力で活躍できる仕組みを構築し、顧客満足を高める努力を続けているのです。

このような顧客を飽きさせない仕掛け、また利用したいと思わせる仕組み、そして顧客を笑顔にする人材の育成で、経営体力は以前と比べものにならないくらい強化され、これら事業の基礎固めが功を奏して2014年の不祥事によって離れた多くの顧客は戻ってきています。結果として、一店舗当たりの売上高は最高水準に達するなどマクドナルドとしては完全復活への機は熟したといっても過言ではないでしょう。

そこで、これまで進めてきた不採算店の大幅な撤退から、慎重かつ積極的な出店攻勢に転じることによって、売上高や利益の大幅な上澄みが期待できます。

最終的に、不祥事による顧客離れで縮小を続けた店舗網が拡大に転じ、痛んだ財務体質が健全化して初めてマクドナルドは「完全復活」を宣言できるのではないでしょうか。

image by: Assystock(MAG2 NEWS)

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【著者】 安部徹也 【発行周期】 ほぼ 週刊

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