【書評】まるでサラ金。人生を潰す、奨学金団体の恐ろしい裏の顔

 

日本の奨学金制度をめぐる現実は、かくも厳しいものだったのか。非正規雇用やブラック企業の蔓延で、返済できないのは珍しいことではない。返済が滞ると家族・親類まで容赦ない請求が届く。そして裁判闘争、15年度にJASSOがとった法的措置は8,713件、強制執行500件近く、破産した者も600件超、ただし破産したら借金は連帯保証人に行く。破産に追い込むのは回収の手段」なのだ。

この悪魔の仕掛けた罠のような奨学金であっても、それ抜きの進学は極めて難しい時代なのである。奨学金返済の実態、苛酷な取り立ての実態、「延滞金地獄」のパターン分析、世界に逆行する日本の教育費政策、若者を奴隷化する日本の奨学金政策……という章立てを見ただけでうんざりする。

この本には最後に救いがある。「新しい奨学金の利用法と注意点必読! 返せなくなったときの対処法、という章があることだ。奨学金を借りなくては進学できない若者、返せなくて地獄に落ちた人たちにとって、これほど頼りになる本はない。その章に至るまでが、傍観者なわたしにもつら過ぎる。

編集長 柴田忠男

image by: Shutterstock.com

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