社会に溢れる「ひとつの正解」が、子どもたちを自殺に追い込む

 

先の図書館のTwitterは、アメリカの学校や図書館に貼られているポスターを思い出した女性の司書が発信したものでした。

ポスターには、自分のこめかみに銃をつきつける男の子と、その周りに積み上げられたたくさんの本が描かれています。

そして、そのイラストの下に、

IF YOU FEEL LIKE SHOOTING YOURSELF. DON’T. COME TO THE LIBRARY FOR HELP INSTEAD.

というメッセージが綴られています。

 

 

このメッセージの真意は、「学校だけが正解じゃない」ということ。

学校に行く、友だちをたくさん作る、友だちと仲よくする、学校のお勉強をがんばるーーー、それだけが「人生の正解」ではないよ、と。

図書館にきてごらんよ。ここには図書館の案内役や本のガイド役やら、“キミ”をサポートしてくれる仲間がたくんさんいるよ。

小説、エッセー、伝記、哲学、美術、車、食べ物 etc etc

いろんな世界が、本には描かれているよ。正解はひとつだけじゃない。

キミの大切なもの、楽しいと思えることを一緒に見つけようよ。

「ひとつの正解(学校に行くこと)」に囚われて、居場所を失っている子どもに、「本を読めば世界が広がる」「本を読むといろんな人と触れることができる」とメッセージを送ったのです。

本来、人間は「生きよう」とする動物です。

必死で立ち上がり、何度も転びながら前に歩こうとする。

3カ月微笑と呼ばれる赤ちゃんの愛くるしい笑顔も、人が社会の中で上手く「生きていくため」に、先天的に組み込まれていると考えられています。

ところが、その生きる力を萎えさせるナニかが社会に存在し子どもを追いつめる

生きるためにこの世に誕生した“子”が、自ら命を絶たなかければいけない社会は“異常”としかいいようがありません。

リストカットする子どもは誰一人として、最初からそういう子だったわけではない。

会社でストレスがたまった父親は、母親を家庭で怒鳴り散らす。

ストレス社会でイライラした大人たちが、それを子にぶつける。

その結果、子どもは傷つく。誰からも褒められたことがない。

誰からも認められたことがない。

そんな子どもは、自分を肯定することができず、自分は生きている意味がないと、自ら命を断とうとするのです。

数年前、自殺予防のシンポジウムでご一緒させていただいた「夜回り先生」こと水谷修氏はこう訴えていました。

死にたくて死ぬ子はひとりもいません。

子どもの自殺は学校の中だけの問題じゃなく、社会の問題。

子ども社会は大人の縮図」なのです。

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