「国の光を観る」
宮端さんは業績のV字回復をなしとげ、4年後に社長を退任したが、はとバスはその後も「プロが選ぶ観光バス30選」の第1位を維持し、利用客も増えて、業績も好調である。
その原動力となっているのは、やはり「お客様の喜ばれる顔が見たくて」とか、「お客様が選ぶ日本一にならなければ」という心持ちで日々のサービスに取り組んでいる先端の社員たちであろう。こういう人々が心からの「おもてなし」をする企業が、強くならないはずがない。
「観光」とは、中国の古典「易経(えききょう)」にある「国の光を観る」という一節が語源になっているそうだ。豊かな伝統文化や美しい自然は我が国の「国の光」であるが、日々、こういう「おもてなし」をする人々がそこかしこにいることも、我が国ならではの「国の光」である。
2013年には訪日外国人旅行者数が初めて1,000万人の大台を超えた。その原動力は、やはりこころを込めて、「おもてなし」をする人々であろうし、またそういう「国の光」を外国人に見せれば、それは人としての生き方、企業経営のあり方に関して、国際社会に対して大きな示唆を与えるであろう。
文責:伊勢雅臣