アニメ製作現場の窮状が改善されない「クールジャパン」の現実

 

次回予告

以上、アニメ産業とその現場で働く制作者たちの現状、そして両者の間で生まれている歪みについて解説しました。よく耳にする「クールジャパン」についても簡単にポイントをピックアップしましたが、ご理解いただけたでしょうか。

ところで、筆者を含むMOFiのメンバー2名は「クールジャパン戦略」のうち「7. プロデューサー人材育成」事業の支援を実際に受けた身です。ですので、海外展開に適したコンテンツを生み出すことを期待されてもいるようです。それを踏まえ、次回はまず現状の問題点を整理します。その上で、筆者が一プロデューサーとしての知見をもとに実現可能だと考える「アニメ産業の変化のための切り口」を提示してみます。

副題にある通り、アニメを作るプロセスを見直す必要があると筆者は考えます。今回解説した現状は、大元の作り方を変えることによってしか改善されないと思うのです。

では今号はここまで。

 

【脚注】

(*1) 産業統計の調査・発表「アニメ産業レポート2014」– 一般社団法人 日本動画協会

(*2) (英語原文)日本のアニメーション産業は『厳しい』を通り越して『違法で過酷』 – 北米出身のアーティストが語る – Cartoon Brew – 2015年3月8日

(*3) 庵野監督「アニメ業界は袋小路」で危機感–ドワンゴと短編アニメ配信企画を立ち上げ– CNET JAPAN – 2014/10/27

(*4) 「アニメ業界はもってあと数年」と庵野監督が発言したことにMBSが更に斬り込んだ解説 togetter – 2015年5月25日

(*5)「アニメーション製作者実態調査報告書2015」– JANiCA(一般社団法人 日本アニメーター・演出協会)2015年3月

(*6) コンテンツ産業の現状と今後の発展の方向性 – 経済産業省 (2015年7月) –

image by: Shutterstock

 

『Ministry of Film – ゼロからのスタジオシステム -』
映画業界での国際的なキャリア構築を志す若手日本人著者が、米ロサンゼルスの権威ある映画大学院(AFI、USC)で学んだカリキュラムを下地に、実務レベルでの「ハリウッド」と、世界の映画事情を解説。メンバーのリアルタイムな活動記、映画レビュー、そして毎回異なるテーマでのコラムを中心に展開する。
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