ステーキ店ケネディが破産、「いきなり!ステーキ」と明暗分かれる

 

いきなり! ステーキは立ち食い形式のステーキ店です。リーズナブルな価格でステーキ料理を食べられるということで人気があります。原価率は肉で70%、ライスやサラダ、アルコールなどを含めると60%程度で競合と比べて高く、利益率が低い収益構造となっています。しかし、狭い敷地に25~35席程度を確保し立ち食い形式にすることで回転率を高め、客数を多くすることで収益を確保することができています。

「いきなり! ステーキ」が誕生したのは13年12月です。14年中に出店を推し進めた結果、14年12月末の国内店舗数は30店にもなります。一方、「ケネディ」運営会社の売上高のピークは14年12月期です。この期では「いきなり! ステーキ」は出店をし始めたばかりということもあり、「ケネディ」の脅威にはなっていなかったと考えられます。

しかし、15年においても「いきなり! ステーキ」は手綱を緩めることなく出店を推し進めています。約50店を新規出店し、15年12月末には約80店を展開しています。また、メディアで頻繁に取り上げられるようになり、世間で広く知れ渡るようになりました。そのため、次第に「ケネディは客を奪われ、その結果、運営会社の売上高が減少に転じていったと考えられます。

「いきなり! ステーキ」はその後も積極的に出店を推し進めています。16年12月末で約120店、17年6月末で約130店を展開しています。今年2月には米ニューヨークにも進出しています。

ケネディ」は営業停止直前まで27店を展開していました。その3割にあたる8店(大山店、王子店、東池袋店、目黒店、学芸大学店、蒲田東口店、蒲田店、横浜関内店)は、近くにいきなり! ステーキ」が存在していました。そこで激しい競争が発生し、「ケネディ」は相当数の客を奪われていったと考えられます。

いきなり! ステーキ」の1番の競争優位性は「コストパフォーマンスが高い」と消費者に認識されていることです。そして、競争優位性としてもう一つ挙げられるのが「駅からのアクセスが良い」ということです。これは逆に考えると、「ケネディ」の最寄り駅からのアクセスの悪さが際立つことになります。

両者各店の駅からの徒歩時間(両者ホームページで公表の徒歩時間または地図サイトの検索で得られた徒歩時間で、同一駅での比較とし、どの出口かは考慮せず、複数路線がある場合は最短距離にある路線)を比較すると一目瞭然です。

「いきなり! ステーキ」が近隣にある「ケネディ」の8店を軸に両者各店を比較してみると、「ケネディ」の2店は近隣の「いきなり! ステーキ」より徒歩時間が短くアクセスが良い場所にあります。しかし、5店は徒歩時間がより長くアクセスが不便な場所にあります。1店はどちらも徒歩1分で同じでした。

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8店を比較してみると、全体的に「ケネディいきなり! ステーキと比べて駅からのアクセスが悪いことがわかります。8店以外も同様です。「ケネディ」全27店の最寄り駅からの平均徒歩時間は5分程度です。駅チカ立地とはいえない店舗がほとんどです。気軽に利用できるとは言い難い面があります。

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