混浴温泉で男女がタオルを巻いてはいけないワケ

 

これが完全放流式の源泉かけ流し浴槽(塩原の場合はそう)であれば、糸くずがトグロを巻いて、ろ剤が目詰まりすることはない。ろ過器そのものがないのだから当たり前である。

ただし、かけ流し浴槽であっても、温度管理のためにお湯を循環しているという浴槽が、世の中にはたくさんあるのだ。大山社長の話では、これが一番ヤバい、と。

「集毛器(ヘアキャッチャー)は通るけれど、ろ過器を通らないってことだから。実際に見ると、どれだけ汚れているか……入る気が失せますよ。逆に言えば、それだけのゴミがろ過器を通すことで漉されて、汚れた湯がきれいになっているということ」。

断っておくが、大山社長の会社は循環器メーカーでなく、清掃管理の会社であるので、闇雲に循環濾過装置の導入を進めているわけではない。社長自身も「湯量が豊富で清潔に管理されていれば」源泉かけ流しのほうが魅力的だとも語っている。

それでも、汚れまくったろ過器の中を見ると、浴槽水からろ過された糸くずの多さと、それが衛生面に与える影響を無視できないというわけである。

混浴にまつわる問題は、単にバスタオル巻きを男女とも義務化することだけでは、明らかに不完全であると言わざるを得ない。浴槽ごとに湯遣いは違うのであり、それに合った対策をとらねばいけないのである。いずれにしても一筋縄ではいかない問題である。

ただ、どこのお風呂でも注意事項に載っている「タオルを浴槽に浸けない」ことの重要性と、その隠れた理由は、これでわかっていただけたと思う。

「使用したタオルを浸けると湯が汚れるから」という一言で片付けるような単純で簡単な話ではないのである。

image by: Shutterstock

 

『温泉失格』著者がホンネを明かす~飯塚玲児の“一湯”両断!』より一部抜粋

著者/飯塚玲児
温泉業界にはびこる「源泉かけ流し偏重主義」に疑問を投げかけた『温泉失格』の著者が、旅業界の裏話や温泉にまつわる問題点、本当に信用していい名湯名宿ガイド、プロならではの旅行術などを大公開!
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