建設技術者→軍事戦争→バグパイプ奏者と様々な職業を経験してきた、カトケンこと加藤健二郎さん。自身のメルマガ『異種会議:戦争からバグパイプ~ギャルまで』の中でカトケンさんは、カイロ大学で小池百合子氏の後輩にあたるイスラム法学者・中田考博士に聞いた話と自身の体験をもとに、小池百合子氏の人物像と政治的手腕を分析しています。
アラブ経験観:小池百合子氏の能力
イスラム法学者・中田考博士は、カイロ大学で小池百合子都知事(以下:小池百合子氏)の後輩にあたる。在学期間に重なりはないが、中近東へ出ている日本人などまだ少なかった当時、同じ大学に在籍していた日本人の情報は大体聞こえてくるくらい狭い世界だったそうだ。
まず、小池百合子氏は、ただなんとなくエジプトに留学したのではないという点が、昨今のよくある海外留学と違う。小池百合子氏の父・小池勇二郎は、石油を含む貿易関係の実業家(国際三昌)として中近東を飛びまわっていたため、すでにアラブの経済界に太い人脈がある中でカイロへ渡ったことになる。
中田考博士の話では、父親から繋がるアラブの重要人脈や、日本の経済界政治界にも繋がる人脈の話がたくさん出たが、それらについては、今回このメルマガでは軽くスルーしたいと思う。気になる方は「斉藤積平」という日本ムスリム協会会長の名や、「小池勇二郎」などをキーワード検索してみてください。
中田考博士は、小池百合子氏の政治家としての手腕においては、ここで構築された人脈そのものが直接の武器というわけではなく、アラブ社会の重鎮たちとの付き合いから得たポジショントークなどに優れている点だという。ポジショントークとは、自分の置かれたポジションや狙い定めた目的によって、発言内容をもっとも適した内容に変更できる能力のことである。
もちろん、日本の社会にも、ポジショントークはあるわけだが、アラブで経験すると「えっ、ここまでポジショントークでホンネと違うことを堂々と言い放っていいの?」という、そのレベル差が凄いのだという。中近東の人が、ポジショントークを普通にできるのは、言葉ひとつの選び方によって命を失うリスクのある社会だからだとか。
そう考えると、日本ではそれほどのリスクがないから「ホンネを言え。コロコロ意見や思想の変わるヤツは信用できん。風見鶏~」などと言っていられる、という風にもみえてくる。では、政治家として向いてるのはどっちなのか? 当然、日本の政治家とて、上に上れば上るほど、外国人とやり合わなければならない。つまり、小池百合子氏のポジショントーク・スキルは、国際政治を生き残っていく上で大事なスキルなのではないだろうか?