「神」になりたい習近平が狙う、「台湾併合」という名の悪夢

 

習近平が、毛沢東を超えるには?

習は既に、中国のトップになることで、お父さんを超えました。GDP、軍事費世界2位の大国の絶対権力者になることで、プーチンを超えたともいえるでしょう。党規約に「習近平思想」が入ることで、毛沢東に並びました。では、どうすれば、彼は毛沢東を超える存在になれるのでしょうか?

毛沢東ができなかったことをすればいい。それは、何でしょうか? 毛沢東は、国民党との内戦に勝利し、中華人民共和国を建国しました。敗れた国民党は、台湾に逃れて生き延びた。それで、現在は中華人民共和国と、中華民国(=台湾)の二つが存在しています。習が、「台湾併合に成功すれば、彼は「毛沢東を超えた歴史的指導者になれるでしょう。

今後、中国の経済成長は、必然的に鈍化し続けていく。国民は、「鄧小平、江沢民、胡錦涛と、中国は世界一の成長を誇ってきたのに、習はだめだな~~~」となる。そうなると、習は「別の正統性」を見つける必要が出てくる。「台湾併合」は、まさに「(習にとってよい正統性」なのです。

ちなみに、クリミアは、1783年から1954年まで、文句なしでロシア領でした。ソ連崩壊後は、ウクライナ領になりましたが、全ロシア人が「クリミアは、ロシアのものでしょ」と信じていた。プーチンは2014年3月、クリミアをサクッと併合し、ロシアの「歴史的英雄」になりました。その後、経済制裁、原油安、ルーブル安でロシア経済はボロボロになった。しかし、「歴史的英雄」プーチンの支持率は、いまだに8割台をキープしています。プーチンを尊敬する習が、「俺も見倣って」となってもおかしくないですね。

日本の大戦略は不変

日本の隣にある超大国のトップが、「私は神のごとき絶対権力者になろう!」と決意している。わが国にとっては、大きな不安定要因に思えます。しかし、私たちは、慌てず騒がず、大戦略を実行していきましょう。日本の大戦略は、「孤立を回避することで、中国が尖閣侵略に動けない状態をつくり、それを維持する」ことです。

大戦略で、最重要の国家は二国。すなわち、現在の同盟国アメリカ未来の同盟国インド。重要国家(地域)は、EUとロシアです。そして、台湾、ベトナム、フィリピン、オーストラリアなどとの関係もとても重要。その上で、中国との良好な関係を築けるよう努力するべきです。大事なのは、「関係の秩序」です。

  1. アメリカ、インド
  2. EU、ロシア
  3. 台湾、ベトナム、フィリピン、オーストラリア
  4. 中国

この秩序を崩さない範囲で、日本は中国とも仲良くしていくべきなのです。

image by: photocosmos1 / Shutterstock.com

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【著者】 北野幸伯 【発行周期】 不定期

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