年金のプロが解説、知らないと損する「遺族年金」受給の特例

 

※注意

この「子」は死亡した夫と養子縁組をしていたから妻に遺族基礎年金が支給される。前夫との子と死亡した現夫が養子縁組していなかったら遺族基礎年金は不可だった。遺族年金でいう子というのは、あくまで血の繋がりがある死亡者の子でなければならないから。血の繋がりが無くても養子縁組しておけば死亡者の子になる。よって、配偶者である妻に支給される遺族年金総額は遺族厚生年金369,968円+遺族基礎年金779,300円+子の加算金224,300円=1,373,568円月額114,464円)となる。

しかし、子が18歳年度末を迎えると遺族基礎年金779,300円+子の加算金224,300円がまるまる消える。という事は遺族厚生年金369,968円のみとなる。

ところが、この妻は子が18歳年度末を迎えた時点で40歳以上を満たしているので、中高齢寡婦加算という加算金が付く。中高齢寡婦加算金額は定額で584,500円

中高齢寡婦加算とは?(日本年金機構)

だから、子が18歳年度末以降は妻の遺族厚生年金369,968円+中高齢寡婦加算584,500円=954,468円(月額79,539円)となる。なお、65歳以上になると中高齢寡婦加算585,400円は消滅する。65歳以降は妻自身に老齢基礎年金が貰えるようになるから。

なお、65歳以上は遺族厚生年金は老齢基礎年金と同時受給が可能ですが、仮に妻が10万円の老齢厚生年金が貰える場合は遺族厚生年金がその額停止される。つまり、(遺族厚生年金369,968円-妻自身の老齢厚生年金10万円)+妻自身の老齢厚生年金10万円+妻の老齢基礎年金となる。だから、この時支給される遺族厚生年金は269,968円になるという事。これを先充て支給という。先に自分の老齢厚生年金を貰って(充てて)、差額の遺族厚生年金を貰うという事。

※追記

この妻の生年月日だと、妻自身の老齢厚生年金が65歳前から貰える人(条件を満たしていれば63歳から貰える)ですが、65歳前は遺族年金もしくは老齢厚生年金のいずれかを選択して受給する事になる。つまり、両方は貰えないから有利な年金を選んで支給してもらうという事。

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佐賀県出身。1979年生まれ。佐賀大学経済学部卒業。民間企業に勤務しながら、2009年社会保険労務士試験合格。
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